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まほらば 最終巻

 はー、やっと金曜日。なんか今週はぼちぼち忙しかったけどなんとか答えまではほとんど辿り着けたのでまあよしとしよう。> お仕事 そんなわけで今日は昨日買ったこちらを読んでみたり。



 ……したんですけどね。いやー、素晴らしい。問答無用で素晴らしい。なんて暖かくて優しい作品なんだろうか、と。

 最終巻、やや無理矢理終わらせた感もないわけじゃないです。特に「蒼葉 梢」という人格への人格統合の流れに関してはもうちょっと深掘りも出来たんじゃないかと思うし、「簡単なこと」についてももうちょっとじっくり描いても良かったようにも思います。が、そんなことを全部すっ飛ばしても素晴らしいんですよね、この作品。

 ようやく最終巻で語られた灰原のエピソードもそうですが、この作品の良さって、行き着くところ、D.O. の名作「家族計画」と同じじゃないかと思うんですよね。人生、山あり谷あり。いろんな人が、いろんなものを抱えて生きている。挫折経験しかりトラウマしかり幼少時代の虐待しかり。そんな傷だらけの人たちを、等身大のまま受け容れてくれる人や場所を描いた作品、それがこのまほらばなんじゃないか、と思うんですよね。そしてそうした人たちが紡いでいく、穏やかで暖かいドラマが積み重なっていくのが、鳴滝荘という場所。想い出や気持ち、そして絆が、鳴滝荘という器に雪が積もっていくがごとくどんどん積み重なっていってかけがえのないものになっていく。きっとそれは彼らにとっての『心の家族』や『心の家』であり、それが彼らにとっての『新たな原点』になっていくんじゃないか、と思うんですよね。つまり鳴滝荘は、彼らにとって『還るべき場所』であり、彼らにとっての人生史の一つの起点。

「……隆士さん。
 私……幸せです……」


 梢が最後に万感の思いを込めて語るひと言が、非常に心に響くんですよね。
 ……ああ、ホントにこの幸せに至るまでにいろいろあったんだよなぁ、と。

 全体を通して一つだけ残念だったのは、珠美が救われるエピソードがなかった点(しかも最終巻では事実上スルーされている)ですが、きっとこれは番外編などで補完されるのでしょう……というかそれを期待したいところ;。ちなみにもう一冊のまほらば白の方は過去のカラーイラスト大全なのですが、いやとんでもないカラーイラストの点数に思わず圧倒されました。凄いなぁ、これ;。

 それにしても改めて振り返ってみて、こういう人生史としての『重み』を感じさせてくれる作品は先に挙げた家族計画などを始めとして決して少なくないのですが、この作品のように、過去の不幸やトラウマを煽り立てることもなく、かといってテーマを上段に掲げるでもなく、静かに暖かく優しく描いた作品はなかなかなかった、と思うんですよね。帯にある売り文句そのままですが、私もこの作品に向かってひと言。

 その出会いに、過ごした季節に、育んだ心に、そして別れに、
 ――――――――――――――――――――――――ありがとう。


 や、ホントに素晴らしい作品でした。小島あきらさん、連載おつかれさまでした。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2006/7/29 01:05 | 3.アニメ&コミックス

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コメント

お世話になります。とても良い記事ですね。

投稿者 グッチ 靴 : 2012年11月10日 04:22

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