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そんなわけで引き続いて、ななかと対のルートになってる小恋ルートもクリア。いや〜、このルート、なにげにいい出来じゃないですか^^。最後の銀色シールの免罪符が蛇足どころか感動すべてぶち壊しでしたが(← そこまでの出来が良かったのでちょっと暴れそうになった;)、いや予想外に素性のいいルートで驚きました。
というわけで、以下ネタバレで。面倒なんで反転なしで。
このルート、ひと言で言えば鬱展開ルート(ぉ)。散々迷ってふらついて、周りの人を傷つけまくって、それでも最後には何かを手に入れていく物語。や、私は君望を初めとする鬱ゲーは全般してあまり好きではないんですが、このルートみたいな鬱展開はむしろ結構好きなんですよね。なぜかというと、遠回りしても、最後には一番大切に思えるものを見つけて、そのために誰かを傷つけ、自分も傷つく覚悟をしているから。そのことに気付いていく物語の展開が、私は好みなんですよねぇ^^。
展開上、非常に上手かったと感心したのが中盤のななかの交通事故。全く想定していなかったので完全に不意打ちだったんですが、これによって、義之の思慮の浅さがうまく浮かび上がっている。要するに、恋愛なんて好きという気持ちだけで綴られるものじゃなくて、誰かを傷つけたり、自分が傷ついたりすることもある。しかし主人公の義之の場合、『小恋が好き』という気持ちはあっても、周囲のななかや渉に対する思いやりや気遣いがほとんどないんですよね。だから、ななかの気持ちもろくに考えずに、
「ななかの面倒をみるよ。俺の責任でななかが不自由になったんだから、入院中、俺がななかの面倒をみるよ。」
これが……今できる俺の罪滅ぼしだ。
なんてことを言ってしまう。その行為がどれほどななかのことを傷つけるのかも考えず、それが自分の誠意であるとばかりに。
そしてその後、義之は、ななかとのけじめもつけて小恋との仲を修復しに行くわけですが、ここで非常に感心したのは、この一連の展開が、義之の物語であると同時に、ななかの物語にもきちんとなっているという点。つまり、一連の流れをななかの側から見てみても、ちゃんと一つの物語になっているんですよ。
ちょっと整理してみると、こんな感じ。
前回のエントリにも書きましたが、ななかは触れるだけで相手の気持ちがわかってしまう能力の持ち主。折に触れて義之の手を握っていたななかは、義之に何があったのか、彼の気持ちが本当は誰の方を向いているのかが全部分かっている。けれども義之のことが諦められないななかは、そういうことを全部知った上で、自分の交通事故をダシにして、彼の心の弱さとその隙間に入り込もうとするんですよね。
「……わたし、義之くんのこと、好きだもん。
一回振られて、諦めようとも思ったんだよ。
だけど、やっぱり好きで。すごくすごく義之くんのことが好きで。
気がつくと義之くんのことばっかり考えてて。
……だから。」
ななかの言葉に頷いていた……って、おいっ、そこはどう考えても頷いちゃダメだろっ、ここに選択肢は出ないのかよっっ;;と一瞬叫びそうになりましたが^^、義之の失恋(← 彼の勝手な誤解でしたが)も何もかも知った上で、心の隙に付け入ろうとするようなななかの行為は、(ななかルートでも語られていたように)一種の「ずる」なんですよね。けれども、そんな関係が長く続くはずもない。結局小恋に対する誤解も解け、義之はななかとの関係も清算しに来るわけですが、ななかはやってきた義之を見て極度に怯える。何故このシーンでななかは極度に怯えるのか? これ、ななかがちょうど能力(桜の木の魔法)を失ったタイミングと重なってるんですよね。
ななかの病室の扉を開けた。途端、ベッドの上のななかがビクリとしたようにこちらを向く。
そして……俺の顔を見て、泣きそうなほどに顔をゆがめた。
「よ……よしゆきくん……どうしよう……わ、わたし……」
「ななか、聞いてくれ……話が……」
「やだ!」
「え?」
「や、やだよ……。今日は……聞かない……聞かないよ……
嫌な予感がするの。義之くんの口から聞きたくないよ……どうして……どうして、こんなときに……」
「……頼むから聞いてほしい」
「やだ……やだよ……ひどいよ、義之くん……わたしに悲しいお話をするんでしょう?
なんで、今日なの? なんで今なの? ねぇ、どうして……?」
彼女にとって生きていくために必要不可欠であった、彼女の不思議な能力。当たり前のようにわかっていた他人の心が読めなくなって、まさに独りぼっちの世界に叩き込まれたところに、追い討ちをかけるがごとく義之が別れ話を切り出してくる。それはまさに彼女から世界のすべてを奪う行為に他ならない。義之のやってることは、まさにななかを傷つけ、そして彼女から全てを奪って殺す行為といっても過言ではない。
けれども、義之がななかに対して真摯な気持ちで自分の本心を訴えること、それによって、ななかは初めて見えない他人の心を感じ取り、それを信じることができるようになるんですよね。
「流れてこないよ。義之くんの……本当の気持ちが……わからないよ……」
「これは、俺の本当の気持ちだ!」
ななかの目を見て断言する。
そうすることが、今の俺にできる精一杯の誠意だった。独りよがりかもしれない。
でも、俺にはこうすることしかできなかった。
「………………………………
わかった、信じる……そうだよね。あれだけ小恋のことを想ってた義之くんだもんね……」
「あ〜あ……失っちゃったな、何もかも。義之くんも、あれもこれも……全部……」
ななかは確かに超能力も、そして義之も失ってしまった。けれどもそのかわり、人間としてものすごく大切なもの、見えない他人を信じられる力を手に入れているんですよ。だからこのシーンは、『ななかの(魔法の)物語の終わり』であると同時に、『(本当の)ななかの物語の始まり』のシーンでもあるんですよね。本来のななかルートにはなかったものがここに描かれていた感があって、ものすごくしっくりきたシーンでした。
……ってちょっとマテ、このルートは小恋ルートなのになんでななかの話ばかり;。
というわけで、再び小恋の話に引き戻すことにすると。
卒業を機に島を去らなきゃいけない家庭事情を抱え、さらに親友のななかも義之のことを想っている。事故に遭ったななかの元に通いつめる義之を見て行き場を失い、渉を頼るしかなくなってしまった小恋。一方で、一歩の勇気が出せなくて時間だけが過ぎていき、些細な誤解と思い込みで行き場を失い、ななかを頼るしかなくなってしまった義之。
ちょっと話し合えばこんなことになるはずもないのに、不器用で奥手であるが故に二人の仲はこじれていく。
結局、二人に足りなかったのは、自分が傷つく勇気と、周りを傷つける勇気。その一歩が踏み出せなかったが故に、お互いに気持ちをぶつけることができず、悪循環に陥っていってしまう。けれども、一度お互いを失ってみて、自分でどうすることもできない気持ちがあることに気付き、最後にはちゃんと人を傷つける覚悟、そして自分も傷つく覚悟をして、一歩を踏み出していく。
「知ってたよ。」
「え?」
「渉から聞いた。小恋が初音島から出て行くこと。」
「え? じゃ、じゃあ」
「それでもいいと思ったんだ。
小恋が島を離れても、ずっと一緒にいれなくてもさ、それでも俺は小恋のことが好きだから。
他の誰も小恋の代わりになんてなれないからさ。
だから、告白した。
渉とななかを傷つけて、それでも小恋に告白した。」
ううっ、GJ(笑)。や、こういうセリフ大好きなので^^。
ものすごくベタベタな展開だけど、こういう『覚悟を決めた』セリフがあると、ものすごくしっくり来るんですよね。
結局、このシナリオがいわゆる凡百の鬱ゲーと一線を画しているのは、理性ではコントロールできない恋愛感情の苦しみと、それが消化されていく様子を、断片的ながらもきちんと描写している点、なんですよ。
想い人であった小恋から相談を受けて、自分の気持ちを殺しても彼女の背中を押そうとする渉。
小恋に振られ(たと誤解し)てどうにもならなくなってしまう義之。
義之の本心が決して自分を向いてくれないと知っていてもなんとかして義之のことを手に入れたいと願うななか。
彼らの恋愛感情は行き場を失えば苦しみになるけれど、その強い想いや気持ちを力に変えていければ、それは一歩を踏み出していく勇気や覚悟になる。そういう基本構図がこのシナリオにはあり、それが端的に現れているのが前述のセリフだと思うんですよ。これって恋愛ゲーム(特に鬱ゲー)の最も基本的な構図だと思うんですが、意外にこの基本構図をきちんと作れていない作品がものすごく多いんじゃないかな、と。
前述のラストシーンのセリフは、ものすごく教科書的でオーソドックスではあるものの、ちゃんといろんな要素がカチカチとピースをあわせるがごとく噛み合っていった感がある。や、このエントリはうまくまとめられなくてかなりの長文になってしまいましたが;、全体を通して言えばかなり良かった、というのが正直な感想。いやー、前作の D.C. よりかなりシナリオ面での進化が見られますね。いやはや、思わず熱の籠もったエントリに書いてしまったりww。
がしかし……眠い;;。や、迫ってくる眠気を押してゲームをプレイしてるのもどうかと思った今日この頃;。っつーかこんなもん書かずにとっとと寝れ状態。いずれにしてもまだ 2 キャラ目。引き続き 3 キャラ目、行ってみますよ〜^^。
# っていうか早く朝倉姉妹を攻略したいわけですが;。
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今日は〜^^またブログ覗かせていただきました。よろしくお願いします。
投稿者 グッチ 時計 レディース : 2012年11月10日 05:31