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というわけで今日はこちらのインプレをひとつ〜。
えーと、作者名で検索するといろいろと問題のあるらしい(笑)田中ロミオ氏の一作。CROSS†CHANNEL、I/O などの秀作を手がけた田中氏がラノベ界に進出! ということで Web 拍手なんかでもタレコミいただいてたわけですが、購入したのは先月なのになかなか読めずようやく読破。や、読み始めるまでは時間がかかったものの読み始めてしまうと一気に読めてしまうというのはラノベならでは、と思うわけですが、いや〜、これはさすが田中ロミオ氏、と唸らされてしまうラノベですね。
どんなお話なのかというと、人類が何かのきっかけで衰退し、地球はいつの間にか妖精さんたちの世界になりました、というフシギ系ファンタジー小説^^。田中ロミオ氏というととにかく重厚なストーリーを書くシナリオライターとして名高いわけですが、本作はそれとはうってかわって超トンデモロジックを振り回すという、まさにラノベ中のラノベともいうべき一冊。や、どんな雰囲気かというと、こんな感じ。
「いったいこれは?」
住人も落ち込んでいます。
人口もだいぶ減ってしまっているようです。
「……せいぞんきょうそうに、まけたです?」
「負けたんですか?」
「かほう、うばわれまくりですよ?」
「家宝なんて持ってたんですか?」
「あったんですなこれが」
「とおっしゃいますと?」
「ぼくら、おかし、てばささぬです」
「おやつのことですか?」
妖精さんはうなずきます。
……というようなゆるゆるの会話が延々と一冊続くという本(笑)。いや〜、読んでる途中で激しく面倒くさくなって思考を停止してしまうような本で;、派手な伏線もなにもなく、ただただゆる〜い世界を堪能できる一冊だったりします。……なんて書くと、ホントにそれが田中ロミオ氏の一冊なのかというツッコミを受けそうなのですが、その一方で謎だらけな設定であることは確かでもあったり。
・旧人類はなぜ衰退したのか?
・妖精さんたちの持つ超高度な魔法みたいな技はいったいなんなのか?
・妖精さんたちはなぜそこに現われて増殖し、そしてなぜ離散して消えていくのか? 楽しい度パラメータとは?
などなど。いろんな意味で謎だらけの作品なんですよね。ちょろっと調べてみたところ、どうもこの世界のルールはライフゲームをモチーフに使っているようで、そこから読み解こうとする面白い試みもある様子。ああ、なるほど設定関連はだいたいこの筋で読み取れそうですが、ではこの作品の全体として意味するところはなんなのか? ぶっちゃけ作品中のヒントが少なすぎるのでなんとも言えないのですが、とどのところつまりこれは、
こんな作品ばっかり読んでると、物事を考えなくなって頭がゆるくなって人類は衰退しますよ。
という最大限の皮肉ではないか、とか思ったりするのです(笑)。というのも、この作品中の基本ロジックの一つに「場の楽しい度」パラメータがあるのですが、これは端的にいえば、事物に対する興味を失っていくと、結果として消滅する(衰退する)ということを意味している。それってこの本そのまんま、なんですよね。
で、その筋から読み取ると彼女や調停官という職が暗に意味するところも読めてくる。この主人公の女の子って、一見怠惰そうに見えて実は未知の事物に興味を持つことができる稀有な女の子。そんな彼女が就いた調停官という職業は、まだ未知である妖精さんたちの生成・消滅則(=この世のルール)を解き明かすこと。彼女は(旧)人類最後の学者である、ということを鑑みれば、要するにこの主人公の女の子は、
旧人類の滅亡を回避することができる、旧人類最後の希望である。
と読み取れるんですよね。もっと端的に書けば、彼女が妖精さんたちのルールを読み解ければ人類の滅亡は免れ、逆に前任者と同様に「妖精さんたちの魔法のような技術」への興味を失って退廃すれば人類は滅亡する、ということを象徴しているのではないか、と。
ま、もちろん彼女が妖精さんたちのルールを読み解いたら急にこの世界の旧人類が復活する、なんてトンデモ物語にはならない……と願いたいですが;、なんとなくそんなふうに解釈すべき作品なのかなー、とか思いました。……っつーかですね、ヒントが少なすぎて分かりませんよこれ;;。
えーと、とりあえず第2巻以降に期待します、はい;。
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はじめまして。突然のコメント。失礼しました。
投稿者 グッチ サングラス : 2012年11月10日 05:36