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書評:「性愛」格差論〜萌えとモテの間で〜

 というわけで今日はこの書評を一つ。



 や、書店でつらつらと本を眺めていたらまたこの手のタイトルか、と思ったわけですが、著者を見て思わず即買い。これ、「負け犬の遠吠え」を書かれた酒井順子さんと、ヲタ系分析大好きな精神科医の斉藤 環氏の対談本じゃないですか。しかも巻末にはこんな煽り文句が。

 金があっても必ずしもモテない(!?)時代。格差は「金持ち/貧乏」「モテ/非モテ」「既婚/未婚」等と入り組む。趣味の「棲み分け」が進むなか、男女が番わない(つがわない)理由を徹底解明。

 いや負け犬代表の酒井さんとヲタク代表の斉藤氏のこのネタの対談が面白くないはずがなかろう! というわけで読んでみたわけですが、めっちゃ面白いwww。斉藤氏のちょっと穿った^^切り込みと、冷静でちょっとシニカルな酒井さんの受け答えがこうも小気味良いものなのか、とめっちゃ感心したり。後半はやや斉藤氏が語りすぎの感があってくどかったですが、全体としてはなかなかに面白い対談ですね、これ。全体的にはどちらかというと『萌え』に関する言及よりは『モテ』(恋愛資本主義)に関する言及の方が多いんですが、これに関しても二人ともある種あっけらかんとしていて、超毒舌。

斎藤氏 「ただ、そういう『おばさん化』できる人が減っているようにも思います。」
酒井さん「女性はいつまでもきれいでないといけない、心身ともに、永遠におばさん化してはいけないというプレッシャーが強いですからね。特に独身だと、常に自分は売り物で、誰かに手を伸ばしてもらわないといけないという意識がある。」


斎藤氏 「男性にはハーレム願望があるし、モテたがる人は多いんですが、女性もそんなにモテたいんですかね。モテてどうするんですか。」
酒井さん「モテたいですね。選ばれたい。男性から望まれた、という所に勝ちが生まれるというメンタリティーは強い。」


 うーわー、言っちゃったよおい状態;;。や、確かに会社とかで結婚した女性陣を見てると、一部には半年と経たずに一気に老け込んじゃっている人も(← いやここまで激変するものなのか、と;)。なんかあの様子を見てると、いかに昨今の「モテ」ブームが若い女性に無理を強いているのか、と感じることも。まあ確かに、口では「見た目より心」と言いつつ本音では、という人も多いでしょうから外見を磨くことも大切でしょうが、こうもバッサリと切り落としてくるとは;。さすがはこの二人の対談、という印象も。

 でも、この本で最も印象的だったのは、斎藤氏が前書きで述べている、酒井さんの著作「負け犬の遠吠え」に関する言及。

 ……この本の価値は「負け犬/勝ち犬」という新しい格差論を導入したところにあるわけではありません。そうではなくて、「勝っても負けてもしょせんは犬」という、徹底して醒めた視線の痛快さゆえです。それはいわば、擬似的な格差論をぶつけることで、世にはびこる「格差幻想」を解毒しようという試みです。……
 酒井さんの巧妙なところは、世間の固定観念をいったん受け容れるふりをしながら、ラベリング好きな世間の習性を巧みに利用して、新たな価値観を少しずつ浸透させようとしたところでした。案の定世間は大喜びで「負け犬」という言葉を(もちろん誤解とともに)受け入れ、浸透させました。しかしまだ、「世間」は気づいていないようです。「負け犬」という言葉が、一種の「トロイの木馬」のようなものであり、この言葉を受け容れることで、いずれ世間的価値判断の屋台骨が揺るがされてしまう可能性があることを。


 あ゛あ゛あ゛あ゛っ、なるほどという感じ。それで犬なのか、と。要するに、「他人を見下すことで安心感を得る」タイプの人がめちゃめちゃ多い、ってことなんですよね。従来はキャリアウーマンなどとして称されたいわゆる「人生の勝ち組」と呼ばれている人たちはある種の羨望を集めていた。けれども負け組の人たちから見て、そうした羨望が許容できない一定線を越えると、とたんに相手を見下したくなる。それにうってつけのキーワードが『負け犬』、つまり「あなたは仕事で成功していても結婚してないから女として幸せじゃない」というものだったんですよ。

 もともと酒井さんご自身は自虐的キーワードとして『負け犬』というキーワードを持ち出したのかもしれませんが、確かに世間がこのキーワードを大喜びで受け容れたのはおそらく上述の通り。けれども、そういうラベリングで人を見下すという行為そのものが『犬』そのものじゃないか、つまり勝っても負けてもしょせんは犬じゃないか、というんですね。確かにこういうラベリングはめちゃめちゃたくさんあるよなぁ、と思ったり。あんまり建設的な思考じゃないんですけどね;。

 あとこの本で面白かったのは、ヲタクと負け犬という種族の他に、ヤンキーという種族を採り上げていた点。確かに一般には採り上げられることのないクラスタなのですが、なるほど確かに言われてみればそういう部族も存在するよな、という印象。さすがによく世の中を見てるだけのことはありますね。煽り文句の言葉ほど『萌え』(=交流を求めなくても自給自足してしまうこと)に対する言及はなかった気がしますが、切り込みの面白さはさすがに一流。なかなかに面白い一冊でした。

 ……夢も希望もない本だなぁ、とは思うけど(ぉ)。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2006/11/4 02:08 | 4.雑学&雑感

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コメント

今日は よろしくお願いしますね^^すごいですね^^

投稿者 グッチ 財布 : 2012年11月10日 09:57

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