ゲームとかアニメとか雑学とかのごった煮メモ書きページ since 2000.12.10

最近のトピック

書評:ミミズクと夜の王

 ―――ねえ、あんなにも。あたしあなたに、たべられたかったのに。

 えーっと、今日はこちらの書評をひとつ〜。



 や、実は以前、狼と香辛料の書評をアップしたころに Web 拍手でおすすめしてくださった方がいて、それで入手して読んでみたりしたという次第。会社との往復でゼルダと交代でちまちま読み進めてたのでかなり時間がかかっちゃいましたが、後半戦に進むにつれて読む速度がどんどん加速、そして一気に読み終えてしまったり。いや〜、なにげにすてきなお話じゃないですか、これ。

 魔物のはびこる夜の森に現われた、額に「332」の刻印を持つミミズク。夜の森で出会った夜の王にミミズクが懇願するのはたった一つの願い事。「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」……死にたがり屋のミミズクと、人間嫌いの夜の王の不思議な物語。

 ……なわけですが、これネタバレしないとインプレ書けません;。が、ネタが分かってしまうとおそらく全く面白くない作品になり下がると思うので、とりあえず反転しておきます。

 電撃文庫でありながら、挿絵が全くないという極めて不思議な一冊。最初に読んだときにはそもそも「ミミズク」の姿がどんななのかもなかなか想像できず、すべてが想像力にゆだねられている、そんな不思議な物語。けれども、そんなミミズクが虐待を受け、心を病み、死を渇望している少女であるということが見えてきたあたりから、作品の印象ががらっと変わってくる。

 序盤でピンと来たのですが、この物語は死を渇望する少女の、純粋な恋愛物語なんですね。(と、これは最後まで読めば明らかですが;、「あたしを食べて」というのが倒錯した恋愛欲求(カニバリズム)であることからも推測可能)

 ミミズクは、人の悪意に晒され続けることで心を壊されてしまう。そんなミミズクが触れた夜の王フクロウは、人の悪意を知るが故に本当の心の優しさを知っている。

「あ……」
 ミミズクはその髪を掴み、拳を自分の額に押しつけた。
 なんて、わかりにくいんだろう。なんて、ひねくれていて、なんて、不器用なのだろう。
 それなのに。
 (優しくされていたんだ。)
 ミミズクにはわかった。
 (ミミズクは、ずっと、精一杯、優しくされていたんだ。)


 確かに話の内容そのものはかなり予定調和的なところがある。けれども、心なき少女に、純粋な愛を通して心の火が灯っていくそのプロセスの描写が実に見事。要するにこの作品の良いところは、心の温かさをダイレクトに感じられるところ、なんですよね。

 実はちょろっと amazon の書評なんかを読んでみたのですが、的外れな書評もいくつかありますね。確かにミミズクのような「壊れた少女」に共感できないような人だとたぶんこの物語はかなりつらいと思いますが、ミミズクが触れたフクロウの優しさや、フクロウの持つ優しさの所以など、いろんなところに世の中の「悪意」と「善意」が織りなすドラマが隠されてるあたりがよいですね。

 とまあ、反転されているとなんのことかさっぱりわからない blog になっちゃいますが;、筆者の言うように「安っぽい」ドラマでも、確かに何かを感じさせてくれる素敵な物語。めちゃめちゃ感動した、とかそういう類のものではないですが、なかなかによい物語なのでちょっと興味を惹かれた方はぜひ読んでみてください。

# というか Web 拍手でタレコミしてくださった方、素敵な作品をありがとでした^^。
# ちなみに狼 5 巻はこたつさんにもツッコまれてますがまだ買ってません><。
# 西尾維新は……以前に数冊読んだことがありますが挫折したような;;。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2007/8/14 00:23 | 3.アニメ&コミックス

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://pasteltown.sakura.ne.jp/akane/games/blog/tt_tb.cgi/1168


コメント

ゲームインプレで購入選択のお世話になっている御礼のつもりで
ちょこちょこWEB拍手でネタ投下させて頂いておりますが、
(シンフォニック=レインや幻水2、イースオリジンは大当たりでした)
ミミズク、読んでいただきありがとうございます。
 この作品の評価は正直いって両極端になる傾向はあると思いますが、
気に入っていただけたようで幸いです。
 先日のWEB拍手での西尾維新と桜坂洋について。
西尾維新は言葉遊びを楽しむ作家と勝手に解釈してますので、
現在「刀語」と言う作品が最新作として月1で刊行してますが、
一つ前の「化物語」がおすすめです。
桜坂洋は「ALL YOU NEED IS KILL」「スラムオンライン」が
おすすめかと。
 ラノベはお気に入り作家様を発掘しだすと止まらない傾向がありますが、
最後に有川浩の「図書館戦争」シリーズをおすすめして終わります。

 ゆかりんパチスロデビューのタレコミ者よりでした。
 
 ではでは。

投稿者 にくやさいいため : 2007年8月14日 21:33

「図書館戦争」シリーズは私も推薦中です。
何というのか、ホラもあそこまで真面目にやると見事ですね(笑)
最近のラノベは純文学との中間的な存在のようなものも多く、興味深いですね。

投稿者 夏のこたつ : 2007年8月15日 02:29

どもです。
夏のこたつ様、コメント返しありです。
ラノベ出身の作家様でも、「こちらの方が向いているんじゃ?」
と思うこともよくありますね。
日日日作品では「私のやさしくない先輩」が一番好きですし。

>まちばりあかね様
体調を崩されたようですが、食欲はありそうですので少し安心です。
食欲がどうしても無いような時は、ゼリー系の補助食品がカロリー等の
栄養補給には向いています。
いやまあ、なにが言いたいかというと、


「ここでゼリーだ!」


ミニゲーム、楽しいですね。ではでは、お大事にどうぞ。

投稿者 にくやさいいため : 2007年8月16日 20:26

にくやさいいためさん、書き込みありがとうございます。
なんか心配していただいてすみません;。おかげさまで復調しました。

良作を推薦していただいて非常にありがたかったです。
自分の主戦場のジャンルならそこそこ詳しいものの、やはり他ジャンルは
その筋の詳しい方から聞いた方がいい作品に巡り合えますしね^^。

図書館戦争は一冊目をぼちぼち読んでますが、なかなかいい作品っぽいです。
正直文字に弱い人なので(読むのが遅い;)、まだ半分ぐらいですが。
ハードカバー本なので持ち歩きが大変なのがちょっと厄介ですね(苦笑)。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2007年8月21日 03:09

今日は よろしくお願いしますね^^すごいですね^^

投稿者 グッチ シャツ : 2012年11月10日 09:52

コメントしてください




保存しますか? はいいいえ


< 2007年8月 >
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31