ゲームとかアニメとか雑学とかのごった煮メモ書きページ since 2000.12.10

最近のトピック

Web 2.0 がもたらす新たな時代 Part 3

 さて、手前 2 回のエントリを軽くまとめておくとこんな感じでしょうか。

・google や amazon の出現により、電気・水道・ガスなどに続く新たなインフラとして情報流通インフラができつつある。
・情報流通インフラが出現すると、物理インフラを縛る(チャネルを囲い込む)ことによって実現していた既得権益構造が維持できなくなるリスクが発生する。
・情報流通インフラが効率的に機能するためには参加人数がある臨界質量を超える必要があるが、現時点の日本ではまだ到達していない。
・特に英語/日本語間での自動翻訳技術が実用域に達した場合、情報流通インフラがより効率的に機能するようになり、それによりビジネスのやり方が大きく変化するリスクがある。
・その結果として、自分たちが今までの既得権益を維持できなくなる(=今までの給料がもらえなくなる)可能性がある。

 なので、(今すぐどうこうというわけではないにしても)長期的に自分の仕事がどうなっていくのか?(広がりを持っているのか? それとも廃れていく仕事なのか? 労働単価が安くなっていくものなのか?)については多少なりとも考えておかないと危険だと思うんですよね。なぜなら今の時代は、その会社にずっと勤めていたとしても、給料が高くなるとは限らないから

 で、このことを考える上で示唆に富んだ本を最近読みました。

・次世代ウェブ グーグルの次のモデル

 この本、前掲の「グーグル 既存のビジネスを破壊する」を書かれた著者さんの最新刊なのですが、何が書かれているのかを端的に書くと、Web 2.0 という新たな情報インフラが出現してきている中で、次のビジネスモデル(Web 3.0)をどのように考えるべきなのか? ということを実例を示しながらいろいろ考えている本、なんですね。この本の内容をあれこれ紹介するよりも、この本を通して私がどんなふうに思ったのかを書いた方がいいかな?と思うので、そんな形で書いてみることにすると。

 まず、Web 2.0 を考える上で重要なのは、「地主になろうとしてはいけない」という点。や、どういうことかというと、例えば Google や amazon は、検索サービスや AdSense と呼ばれるマッチングシステムによって巨大な広告ビジネスを展開することに成功しつつあるのですが、こうしたインフラプレイヤーの真似をしようとしてはいけない、ということ。Google や amazon などが作り上げた情報インフラそのものに取って代わる情報インフラを作るのは、Yahoo とかマイクロソフトとかの超大企業、あるいは日本政府とかがやろうとすればよいことであって、我々個人が自分の身の振り方を考える場合には、「そのインフラの上でどういうビジネスをするのか?」を考えた方がいいんですよね。

 これはもっと分かりやすくいえば、今の時代において「東京電力にとって代わる電力会社を興そう」なんて普通の人は考えないですよね。そうではなくて、電気を活用してどんなビジネスを展開するのかを考える。それと同じで、新たに出来上がった情報インフラの上でどう立振る舞うべきなのか、を考えた方がより現実的だろう、と思うわけです。

 そしてもう一つ重要なのは、自分の仕事を改めて考えたとき、自分の仕事に対する対価が、自分の仕事の「価値」に対して正当なものであるか否かを客観的に評価すること。や、どういうことかというと人は多かれ少なかれ「自分はこんなに頑張ったのだからもっと給料がほしい」と考えがちですが、以前のエントリで書いたように、実はその給料は、現在のビジネスが何らかの『既得権益』(何かに対する独占的な権利、囲い込みなど)に依存していて、そこからひねり出されている可能性があります。もしそうだとしたら、それは将来的に維持できなくなる危険性が高い。その既得権益の最たるものが「日本語に依存した仕事である」という点で、日本語ができるから(あるいは日本人である)、という理由だけで、世界標準よりも大幅に高い給与をもらっている可能性がある、ということを考慮しておかなければなりません。

 では、そうした既得権益による囲い込みがなくなっても生き残れる(=高い価値や給料水準を維持し続けられる)仕事とは何なのか? ぱっと思いつくものとしては、大別して 3 種類ぐらいあるのではないかと私は考えています。

@ only one のニッチ市場で no.1 を狙えるような仕事。
A 世界市場で no.1 になる実力を持つ仕事。
B 地域や言語、文化などに強烈に縛られるような仕事。

 まず@について。何百億円とか稼ぐような仕事をするのは大変かもしれませんが、人間一人とか家族数人であればそんなにたくさんのお金は要らないはず。昨今、google のキーワード連動型のビジネスで顧客層を広げることによりビジネスを拡大した、という例がテレビなどで紹介されるようになってきましたが、新たな情報インフラをうまく活用して、今まで「同じ地区の中の一部の人」しか対象にできなかったニッチビジネスを、「日本全国の中の一部の人」たちを対象にすることによってスケールさせる(規模を拡大させる)という戦略が考えられます。もちろんそのためには、そのビジネスが「少なくとも誰かからは強烈に必要とされる」ようなものでなければなりませんが(当たり前のビジネスの場合には低価格化競争に巻き込まれてしまうため)、ビジネスがユニークなもので only one かつ no.1 のものであれば、たとえ「地元」では小さなビジネスでも、大きく拡大させることができるかもしれません。

 その次のAについて。仮にやっている仕事が割と「よくある」仕事だったとしても(← 大半のサラリーマンはそうですが;)、世界規模で見たときに圧倒的な実力を持つことができるのなら、むしろ言語鎖国が崩されることは望ましいことになります。例えば、超売れ線漫画を描ける作家さんであれば、言語鎖国が崩れることはむしろ welcome になる。(ただし、その周辺で「おこぼれにあずかる」ような仕事をしている人たちにとってはマイナスに働く) この路線で生き残るためには、圧倒的な実力をつけることが必要で、日本の中でいくら実力があるといっても、実は井戸の中の蛙状態だとすると将来的にはヤバいことになります;。

 最後のBについて。これはお医者さんなんかが分かりやすいですが、物流や情報流通がどれだけ早く・安くなったとしても、物理的に「そこにいないとお話にならない」タイプの仕事は世の中にはかなりあります。こうした仕事は仮に言語鎖国状態が崩れ、情報インフラが効率的に機能するようになったとしても、ビジネスとしては残り続けるはず。もちろんその多くは低コスト化の波には晒されるでしょうが、お医者さんだとかおいしいラーメン屋さんであれば、「世界一の実力を持たなくても、その地域内で一位であれば十分な価値を守り続けることができる」ことになるでしょう。

 もちろんこの 3 種類以外にも、「Web 3.0 時代に高付加価値を維持し続けられる」ビジネスはたくさんあると思うのですが、重要なのは「今現在の自分の給与はどこからどういう仕組みで出ているのか?」を理解しておくこと、そして「その仕組みは将来的に壊れる危険性があるのか?」を理解しておくこと、だと思います。他ならぬ自分自身がそうですが、仕事に対する対価は、心理的に「苦労に対して支払われるもの」と考えがちですが、Web 2.0 などに見られる世界的な潮流として、

 『正当な努力で正当な結果を出した人が、正当に報われる時代』

 に近づきつつある、と思うのです。もちろん、社会的な構造として高付加価値でない仕事を実直に行う人たちがいるからこそ社会が円滑に回るわけで、そこを社会システム的に適切に維持していくための施策は絶対に必要ではあるのですが、ある一定線を超えるブレイクスルーを目指したいという人たちの場合には、こうしたことに対して自覚を持っていることが必要なのではないか、と思ったりします。

 ……や、とはいえいったいどうすればいいのか、という話になると、なかなか難しいんですけどね;。
 自分ができること、自分が望むこと、そういったものとうまくすり合わせることも必要になりますからね^^。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2007/4/7 04:52 | 4.雑学&雑感

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://pasteltown.sakura.ne.jp/akane/games/blog/tt_tb.cgi/1033


コメント

この3回分のエントリ、興味深く拝読いたしました。

私自身は地方の中小病院で勤務医をしているためにBに該当します。「神の手」などと呼ばれるAに相当する医師もいますが、大半の医師はBに所属するはず。医者が安定稼業と揶揄されるのもこのためでしょう。しかし、全国津々浦々に存在する患者さんをその地域で迅速に診る必要があるからこの「高評価」は「必要悪」だと思います。
最近、救急制度の崩壊が叫ばれていますが、このBに対する評価がきちっとしていないことが原因です。言い換えれば、情報が溢れかえるようになっても、その地域で活躍する人は正当に評価されていないためですね。
理由は簡単で、人の評価というのはそこに実際に接触した人しかできないから。さらにラーメン屋と異なり、救急外来で患者側が医師側を選択することができず、特定の患者さんを除き救急外来を頻繁に受診することもないため、救急医に対する評価は不十分、得てしてマイナスの方向に偏りやすくなります(救急という性質上しばしば結果が望ましくないことがあること、さらに、悪い情報は伝播しやすいこと)。このため、救急医も評価されにくい現場を嫌って離れていくというのが現状です。
#一般に考えられているほど勤務医の給料は高くないのです。w
このためには救急医自身もさまざまな形で情報を発信していく必要があるんですけどねぇ。

という話から、現在私が興しているプロジェクト(@に分類されます)の話につなごうと思いましたが、長文になりすぎたのでひとまずここで終了。
#今回はオチがないな。w

投稿者 恥めてのお医者さん : 2007年4月7日 10:37

コメントしてください




保存しますか? はいいいえ


< 2007年4月 >
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30