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書評:ディズニーが教える お客様を感動させる最高の方法(★×5)

 実は智代アフター、CLANNAD 本編のリプレイと共に放置中なんですが;、いったい何をやってたのかというと料理……じゃなくて^^、先日発売された掲題の本を先週からずっと読んでたり。いやこれ、久しぶりに見る素晴らしい良著で、お客様満足度を向上させるための具体的な手法や考え方がぎっしり。しかも今までのディズニー関連の本とは違って ディズニーの内側の人々が書いた 本で、サービス産業に携わる人ならば絶対に読んでおくべき一冊。私は滅多に本を 2 度読みすることはないんですが、この本は久しぶりに 2 度読みしてメモまで取ってしまったり。

 リピータ率が 70% を超え(ちなみに日本の TDL だと 90% 超)、お客様満足度 No.1 を誇る超優良企業ディズニー。そのディズニーの原動力になっているのは「Disney Magic(魔法)」。しかし当たり前の話ですが、Magic(手品)には必ずタネと仕掛けがある。お客さんである我々ゲストからすれば「魔法」のような体験であっても、従業員であるキャストからみれば、それは「手品」と同様に、再現可能な手順を踏み、狙い通りの効果を生み出してゲストを喜ばせる、極めて現実的な仕事に他ならない。つまり、ゲストである我々が、ディズニーの優れたサービスによって驚き、そして幸せになるのは、企業とその従業員による日常的な努力の結果なんですよね。

 しかし、こうした「お客様に感動を与える」のは通常は属人的になりがち。つまり、一部の優れた従業員(トップパフォーマ)はお客様に感動を与えられるけれども、みんなが出来るわけではない、というのが一般企業の姿。日々高まるゲストの期待を常に超えて、すべてのキャストが、ゲストに毎回必ず感動を与えるにはどうしたらよいか?

 すべてのキャストが必ずゲストの期待を超えて感動を提供することができる、サービス提供の共通的な枠組みを確立するサイエンス(科学)。それを研究・開発しているのがディズニーにあるディズニー・インスティテュートという組織なのですが、この組織が生み出した『クォリティ・サービス・サイクル』という手法の基本骨格を解説したのが、この本なんですね。一般的には公開されることのない、魔法(Magic)の原理を解説している、他に類を見ないビジネス書なんですが、ディズニーはここまで精密にサービスというものを科学し、その理論を体系化しているのか、ということに驚かされます。

 最初に読んだときに本の全体の構造が分かりにくかったのでざっくりまとめておくと、クォリティ・サービス・サイクルとは、質の高いサービスを提供し続けるための「仕掛け」のことで、以下の 4 要素を定めて実践することによって実現されます。

(1) サービステーマ

 簡単に言うと、企業・組織としてのビジョン。ディズニーの場合には、「最上のエンターテインメントを提供することで、すべての場所ですべての年代の人々を幸せにする」というのがサービステーマ。これはゲストへの約束になり、キャストにとっての働く目標となる。

(2) サービス基準

 上記のサービステーマを実現する際、企業や従業員の具体的な行動指針となるもの。ディズニーの場合には以下の 4 項目を掲げており、常にこの基準に則った行動をすることが求められる。各サービス基準には優先順位も定められていて、相反する場合には必ず上位のサービス基準を優先するように定められている。

@ 安全
 遊園地として、ゲストの安全性の確保をなにより優先させる。
A ゲストへの配慮
 すべてのゲストを VIP として扱い、決して失礼のないよう、おもてなしの心(ホスピタリティ)で接する。
B ショー
 滞在の最初から最後まで、継ぎ目やほころびのない優れたエンターテインメントを提供し続ける。
C 効率
 業務上の効率化を図り、リゾートをスムーズに運営する。

(3) 伝達システム

 優れたサービスをゲストに提供するための手段を整える。提供手段は大別して以下の 3 つがあるが、これらすべてにおいて工夫を図り、優れたサービスをゲストに提供し続けられるようにする。

@ キャスト
 オリエンテーションや独自の用語を通じてキャストの自覚を育て、具体的な行動上のコツ(Performance Tips)を整理する。そして、企業全体にパフォーマンス重視の風土を作り上げる。
A セット
 ビジネスを行う場にも最新の注意を払う。特にリゾート内の建物などはすべて物語やテーマに合わせて、ゲストの五感すべてに訴えるセットを用意する。一つでも余計なものや間違いがあるとすべてが台無しになるため、細部にまでこだわって設計・開発する。
B プロセス
 日常的な作業を常に見直し、改善を図る。特にトラブルやクレームはプロセス改善のよい契機になる。

(4) 統合マトリクス

 (2), (3) の各要素を 4 x 3 のマトリクスとして整理し、見落としの排除やクォリティ・サービスの設計・改善を行う。
 大まかな骨格は上記の通りなんですが、実際にこれを行うためにディズニーはどんなことをやっているのか、また各項目を実践する場合にはどんなことに注意すべきなのか、といった、具体的なヒントが盛りだくさんに掲載されています。例えば、日常的な改善のためにはなによりお客様のニーズを理解することが必要ですが、これについても、ディズニーの場合は一味もふた味も違う。市場顧客分析(ディズニーではゲストロジーと呼ぶ)を以下のように分類してるとか。

・デモグラフィクス(人口統計)
 → お客様の物理的な特徴、量的な情報(国籍、利用したお金、etc.)などを調べる。
・サイコグラフィクス(心理的統計)
 → ニーズ(要求)、ウォンツ(欲求)、ステレオタイプ(先入観)、エモーション(感情)の 4 つの視点で定性的な反応を集める。

 前者は当たり前ですが、後者の 4 つの分類は非常にすっきりまとめられている、という印象。最近のマーケティング分野ではこうした心理的分析が少しずつ大きく取り上げられるようになってきましたが、こうした分析軸をかなり以前から使っていた、という事実に驚かされます。いやはや、全世界に誇る超一流企業はやはりワケが違う、という印象。書かれていることが非常に的確なので、めちゃめちゃ勉強になりますよ、これ。原題が "BE OUR GUEST - Perfecting the Art of Customer Service" となっているんですが、十分にその名に恥じない内容です。ちょっと会社でも薦めよう....(^^;)

 こうした独自の手法を生み出したディズニー・インスティテュートは企業向けの研修もやっているらしいんですが、残念ながら日本にはない様子。とはいえその手の内のコアの部分を惜しげなく見せてくれており(ちなみにこの本が初めてらしい)、サービス(エンターテイメント)を科学するとはこういうことなのか、と感心させられます。実際の日々の仕事にも応用できる内容が含まれていると思うので、ビジネスマンであれば是非読んで欲しい一冊ですね。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2005/12/4 01:10 | 5.DLR & WDW

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