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先日、AT-X で放映されたカレイドスター番外編「レイラ・ハミルトン物語」。さすがに予想に違わぬ素晴らしい出来で、前回の OVA (笑わない すごい お姫様)はいったいなんだったんだと小一時間。というわけで早速ですが軽くインプレを。さすがにまだ見ていない人も多いと思うので、ここは反転ネタバレありで。
この物語、簡単に言ってしまえば、レイラ・ハミルトンという自己完結型スーパーマンの心の解放劇ですね。本編ではあくまでスーパースターとして扱われ続けたレイラが、感情を持った人間としての『自分』を取り戻していくという素晴らしい物語でした。
レイラというキャラ、分かる人には分かるんですがピンとこない人もいるかもしれないので簡単にまとめてみると。本編 #42 で、レイラはキャシーとの会話の中でこんなセリフをあっさりと言ってのけました。
「メイのことはどう思ってるの? あたしはむしろメイに同情するけどね。
メイはあなたに憧れる気持ちのやり場がなくて、無理矢理レオンやそらにぶつけてる。
目標となって、自分の力を引き出してくれる誰かが、今の彼女には必要なのにそれがいない。」
「目標なら、未来の自分の姿が一番の目標になるはずよ。私はそうしてきたわ。」
「誰もが、貴方のように強いわけじゃないのよ?」
レイラの生き方は、誰にも負担をかけず、自らで自らを高めていくことができる、タフで超人的な精神力の持ち主。彼女はなんても一人で抱え込んでしまうが、それでもなおそれをこなしてしまうタイプの人間。そらのように、父親や母親の愛情を十二分に知りつつも、それでも自らの我がままで一人身で家を飛び出すような無茶は決してできない。(レイラがそらに惹かれたり、フリーダムというショーに惹かれた理由はそこにあるのでしょう。だからこそ、レイラにはフール(=愚か者)の姿が見えなかったわけですが。)
しかしそんなレイラも、そらと出会ったことによって変わっていく。そして最後にはそらに道を譲り渡し、新たな道を目指し、自らはカレイドスターを離れ、ブロードウェイでキャシーと共に新たな人生を歩みだすことになった……これが、カレイドスターの本編の筋書き。あくまで全 4 クールの本編では、レイラは自己完結型のスーパーマンとして扱われ続けている。そんな彼女のために用意されたのが、今回の OVA といえるんじゃないかと。
そらと別の道を歩き始め、そしてブロードウェイで一人で役作りをしていたレイラは、ここで初めて行き詰ってしまう。自分が演じるべきフェニックスの役作りが出来ずに道に迷い、そこで気付くんですよね。彼女は自ら道を切り開き続けてきたつもりだったけれども、実はそらという『他人』の影響を受けていた、ということに。
レイラが道に迷った理由は、「寄りかかること」と「影響を及ぼしあうこと」の区別がついていなかったため。でも、それは本人の心の持ちようの問題なんですよね。彼女は過去のトラウマ経験から、「寄りかかること」に対して強い罪悪感と抵抗感があり、他人を遠ざけていたところがある。けれども人間同士がそばにいれば、良くも悪くも影響を及ぼしあうのは至極当然なことだし、それは決して寄りかかることを意味するわけではない。もっと気軽な気持ちで他人と接すればそれでよい。レイラにとって、そうしたかけがえのないパートナーとなる存在が、そらだったんですよね。
本編中ではレイラの涙と、レイラが髪を切るシーンが印象的でしたが、後者は非常に象徴的でした。どこかで髪の毛を切って心機一転するだろう、とは思ったんですが、そらに髪を切ってもらう(=他人の影響を受けて人は変わっていく)というシーンが、フラッシュバックのカットと相まって描かれるシーンは白眉の出来。これをきっかけに、レイラはまた新しい一歩を踏み出していく……という象徴的なシーンでした。
そしてその一方で、そのレイラの姿を見てそらもまた影響を受ける。ラストのそらは一見するとレイラを目標としている過去のそらに逆戻りしたかのように見えますが、そうではない。そらにとってのレイラという存在は『刺激』。レイラとそらは互いに互いを高めあっていくことの出来る、人生の最大のパートナーなんですよね。
本作で描かれた、原点回帰を通した成長劇は素晴らしいの一言に尽きますが、サブキャラの使い方、作画の妙、素晴らしい BGM の数々、テーマ曲の使い方、TV 版からのカット挿入など、どこを取ってもスキがない一作で、まさに会心作といってもいいんじゃないかと。この年末に素晴らしい一作を見せてくれたスタッフにとにかく感謝、ですね。ホントにいい作品でした。
……とまあこの作品を先日の日曜日にでじくま氏とリアルタイム鑑賞(ぉ)していたわけですが……
まちばり 「まあこんなパートナーと出会えたら幸せだよねぇ。」
でじくま氏「いやだから三次元と二次元を混同しちゃ……(^^」
いやまあそうなんですけどね;。(苦笑)
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更に言うと、現実では味わうことの難しい経験を(仮想とはいえ)体験させてくれるから、二次元が止められないわけですが。
年を取ってくると「流派東方不敗は…!」も許せるようになるから人間は不思議です。
投稿者 で・じ・くまっちゃ : 2005年12月16日 14:30
さらにいうと、そんな体験をさせてくれる二次元作品は極めて稀なわけですがw。
……しかし、稀とはいえ確実に『ある』から困るんですよねぇ;。
確率的には極めて低いのに、その出会いを求めて外れクジを引きまくるのがヲタというか(^^;)。
投稿者 まちばりあかね☆ : 2005年12月17日 02:44
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