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書評:東大脳の作り方

 というわけで今日はこちらの書評を一つ。



 タイトルからしてめがっさ煽りまくり……というかこの本のどこがどう家族力なのか激しく知りたいわけですが、桜蔭(女子御三家の中の一校)を首席で卒業し、塾にも通わずに学校の勉強と自学自習だけで理IIIに現役合格したという 19 歳の女の子が、ここまでの人生を振り返った自叙伝。現在大学2年生で、この4月から本郷に進学するらしい。で、あれこれ書くまえにまずは一言。

 面白かった。や、いろんな意味で^^。

 というか、勉強スタイルも何もかもが「一般的」じゃないんですよ。なにしろ最後まで塾らしい塾にも通わずに学校の勉強をきちんとこなしていって、その結果として桜蔭首席卒業+理III現役合格……ってそりゃ一般的じゃないですよ(苦笑)。ただでさえ羨望のまなざしで見られる立場である彼女がそんな人生を振り返った自叙伝を力強く語れば、自ずと自己肯定のニュアンスが強くなってしまうもの。おかげで amazon にしても mixi にしても、書評は全般的に酷評;。ただの合格体験記とか思い上がりだとか若造がとかナルちゃんとかトンデモ本だとか、さんざんに書かれてるという有様。や、いくら強い子といっても処女作の書評でこうも叩かれたらそれなりに凹むよなぁ……と思わずにはいられなかったり。(← でもそれをバネにして跳ね返るタイプの子だろうとは思うのですが;。)

 まあこの著者の安川さんの場合、臭いものと興味のないものにはフタ、というスタンスが徹底しているし、No.1 への固執といっても「自分がなれる No.1 への固執」なので、井の中の蛙だと書評で叩かれるのも仕方がないといえば仕方がない。でも私はその辺はあんまり気にならず、むしろ違和感を覚えたのはこの本における「東大脳」の定義。や、安川さんはご自身の経験と自分自身の分析を踏まえて、「東大脳」をこんなふうに定義しています。

「自分の人生を自ら切り拓く意志を持ち、設定した目標に向かって努力することのできる思考形態」
「単なる知能指数ではなく、自主的にやる気を出し、計画的に努力して、挑戦する姿勢」
「一つの挑戦を達成し終えたらまた新たな挑戦、というように、奮起→努力→挑戦→達成のプロセスを踏み続けられる人」

(っつーか一冊の本の中で定義が微妙にブレてるのもどうよ?状態ですが;)

 もし「東大脳」というのが「東大に合格するための脳」というのであればまあこれでもいいのかもしれないのですが、おそらくこれは、著者である安川さんの一番の資質じゃないように思うんですよね。この本を一通り読んでいて思った、安川さんの一番の特徴であり強さの根源は、以下の点だと思うんですよ。

「何事に関しても、自分の目で見て、自分の頭で考えて、論理的に、自分なりの判断を下す。」

 周囲に安易に迎合しない、「自分自身の頭で物事を考えて判断する能力」こそが、安川さんの最大の資質であり、幼い頃から培われてきた東大脳の本質じゃないかと思うんですよね。その姿は周囲からナルちゃんとか思い上がりだとか言われることもあるだろうけど、そういったノイズに左右されないからこそ大きなコトを成し遂げられるんじゃないか、と思うんですよ。

 例えばこの本の途中で、幼い頃に大好きだったというアンパンマンの話が出てくるのですが、こんな感じ。

 幼少期の自分について語る上で、アンパンマンは欠かせない存在です。……(中略)……それなら、どうして私はあんなにもアンパンマンが大好きだったのだろう、と思い、今さらながらアンパンマンという作品について深く考えてみました。……(中略)……
 私がアンパンマンという作品からどれほどのメッセージ性をくみとっていたかはわかりません。けれど、「常に正しく生きること」への憧れが、アンパンマンに対する尊敬につながっていたことは確かだと思います。正しく生きる、というのは、成長していく過程で常識やら偏見やらを身につけるほどに困難になるものです。でも、たとえ現実には無理であっても、正しいことしかしたくないという姿勢をもちつづける大切さを、私はアンパンマンから教わった気がします。


 ちょっwww、というかごめんなさい、思わず吹き出しました(失礼;)。や、この辺の話についてはどこまで本気で書いたのかは分かりませんが(← 出版社が校正時点で煽る方向に指導している可能性もあるので)、いじめに関する言及なんかも「おいおい考察が浅すぎるよ」状態だし、インドアなヲタク趣味は自分から何かを発信するタイプの趣味じゃないのでお薦めできないそうです(笑)。……というか良くも悪くも、一事が万事こんな感じ。

 確かにここの部分だけ切り出して読むとイタい子(ぉ)にも見えるし、この辺の部分を指して「恥を知れ」みたいな書評を書いている人も結構いる様子……なのですが、でも彼女の場合はこれでいいこれで正しいと思うんですよね。なぜかというと安川さんは最後で、最近は東大脳を持たない東大生が多くなってきたと書き、こんなふうに締めくくっています。

 それなら、「東大脳を持った東大生」が少ないと私が感じ取るのはなぜか。それは、先に述べた「自分に合った型を模索し確立していく」能力の代わりに、「人から与えられた型を忠実にコピーして自分の中に取り込む」能力ばかりに秀でている学生が多いように思うからです。

 おそらくここのところが一番のキーポイントで、要するに、何事につけても『正しい』と思えることを自分で判断し、決断し、行動する能力、それが東大脳の本質だと思うんですよ。アンパンマンの論評にしろいじめに関する言及にしろ彼女の受験スタイルにしろ、この本の中で語られている内容は、事物の様々な切り口の一つでしかないし、数多ある正解の中の一つでしかない。けれども、みんなが是とする「和集合的な」答えよりも、自分に適した答えを自分で見つけて行動していく。その答えは確かに多少のロスは出るけれども、結果的に一番大きなリターンが得られるものなんじゃないかと思うんですよね。

 書評を書かれている方々の中には「これからが楽しみだ」といったことを書かれていた人もたくさんいましたが、ちょっと心配になる方でもありますね。自分が達成しようとしているゴールの律速要因や阻害要因が「他人」になったときにつまづかなければいいんだけど、と思うんですが、とはいえ医者って割と専門性の強い職業だし、彼女ほどの利発な方ならうまく軌道修正して乗り越えていっちゃうんでしょうね、きっと^^。

 でもそれ以上に面白かったのは。
 ……桜蔭ってこんな面白い学校だったのか〜(笑)。や、マジメな子が多そうな学校だとは思っていたけど^^。

 なんにせよ、この著者の安川さんって凄いお方であることは間違いないか、と。や、書かれている内容もさることながら、大学2年生という若さでこれだけの行動力、そしてこれだけの文章をまとめあげたのはさすがです。……っつーか大学2年生のときなんて、自分はひたすら同人誌書いてたような気がしますよ;orz。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2007/3/28 02:10 | 4.雑学&雑感

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コメント

こんにちは、またブログ覗かせていただきました。また、遊びに来ま〜す。よろしくお願いします

投稿者 グッチ サングラス : 2012年11月10日 08:34

はじめまして。突然のコメント。失礼しました。

投稿者 グッチ 財布 新作 : 2012年11月10日 13:44

Pastel Gamers Blog 〜Pasteltown Network Annex〜 書評:東大脳の作り方
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