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「性格、かな」
というわけで、今日はしばらく前に読破したこちらの書評をひとつ。
以前のエントリで紹介した「狼と香辛料」の 2 巻。経済をテーマにした稀有なファンタジー小説で、1 巻も実に見事な出来だったのですがこの 2 巻はそれをさらに上回る出来栄え。いやー、これは見事です。
おおまかなあらすじを書けば、信用取引で含み損を抱えて破産寸前に追い込まれた主人公ロレンスが、ホロと共にどん底から見事なまでの逆転劇を演じていくという作品……なんですが、そのストーリーラインが実に神。どん底に叩き込まれたことによって崩れかけた二人の仲、そしてロレンスたちを取り巻く謀略の数々、それらが折り重なっていって最後には大団円を迎える。借金の返済方法自体は予想がつくのですが、そこからの展開が実に見事。ロレンスの「行商人」としてのけじめのつけ方があまりに素晴らしい。
加えてやっぱりこう言わざるを得ない。
ホロかわいいよホロ。(笑) ← またか^^
1 巻でも見られた、老獪な狼と行商人の頭脳戦のような見事な掛け合いがさらに純度を高めていて、思いっきりクラクラ来そうな素晴らしいやり取り。ラストの名前のエピローグもまたスパイスが効いていて、この作者(支倉氏)のセンスの良さに脱帽せざるを得ません。
扱っているネタといいこのやり取りといい、電撃文庫とは思えないほどのクォリティの高さ。というかこれ、ライトノベルと言われてますけどどちらかというと大人のファンタジー。萌え系でもなければ爽快系でもない、けれども胸にじわっと来るものがある、そんな感じの作品ですね。雨降って地固まる、という月並みな表現が見事なまでにしっくりくる一冊で、叩き落されたどん底の絶望感と、そこからの逆転劇、そして最後に残る爽やかな読後感が素晴らしかったです。
# いやー、これは必読書にしたい作品ですね。
# もったいないので 3 巻以降はゆっくり読んでます。:-)
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私も4巻まで読みました。本当に惜しみ惜しみ読む感じ。
作者はこれがデビュー作なんですよね。若くて教養も深い。
羊飼いの描写など神がかっていました。純文学でも充分名を残せる力量ですね。
これは超新星といって良い例ですけど、他にもライトノベルには一般的な
小説との中間の位置を占めているようなものも色々あるようです。
投稿者 夏のこたつ : 2007年3月1日 02:08