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狼と香辛料 (★×5)

 怒りにゆがんでいた顔が、すねたそれに変わっていく。
 世界を股にかけてどれほど金を積んだとしても手に入らないものがそこにはあった。

 「無事でよかった」


 ……というわけで今日はこちらの書評を一つ。



 や、夏のこたつさんから猛烈にお薦めされていて、年末あたりから積読状態だったのをようやく読破。というか文字メディアってめがっさ苦手なので、このライトノベル 1 冊を読むのに 4〜5 時間もかかっちゃうのですよ;。

 ええっと、まずはひと言。
 ホロかわいいよホロ。(笑) ← またか;

 ……と、こんなことを書くといつもながらのゆるいキャラ萌え小説のように見えるかと思いますが、いやはやこれはとんでもない逸品。硬めの文章が苦手な自分が思いっきり読みふけってしまうほどに見事な作品でした。

 この作品、ひと言で言えば「超王道のファンタジー作品」。物語の基本構成要素はものすごく単純化して言えば、世界観とキャラクターとストーリー展開の 3 つだと思うんですが、この 3 つすべてがオーソドックスながらもものすごくよくできているんですよ。

・世界観
 基本的には中世ヨーロッパを意識しているものの、決して「なんちゃってファンタジー」になっていない。領主制、協会権威、土俗信仰と自然科学の境界など、様々な要素を見事にバランスさせた確固たる世界観を持っていて、その在りようが実にリアル。主人公のロレンスは行商人なんですが、この設定はバックグラウンドの世界観がしっかりしていないと全く生きてこない設定なんですよね。中世ヨーロッパの歴史や風土をものすごくよく勉強しているだけでなく、それを冷静に、かつシステマティックに捉えている、その分析力の鋭さも伺えるような世界観が凄いです。

・キャラクター
 主人公ロレンスしかり、ヒロインのホロしかり、なんといっても二人のキャラクター造詣が見事。ホロに手玉に取られてからかわれるロレンス、それでありながら少女のような可愛さを見せるホロのコンビは昨今よくある電波なセカイ系の二人組とは訳が違う。表面上は距離感を取りながらも、心の底では互いを問答無用で信頼し合っているという、そんな二人の関係にクラクラ来る^^。しかしこのホロの造詣は実に見事ですが、年増お姉ちゃん系だだ甘キャラとでも言うべきなのかこれは(笑)。

・ストーリー展開
 腹の探り合いと騙し合いが基本の行商人、その設定にたがわぬ見事なストーリー展開。裏の裏の裏をかくような、張られた伏線の回収とどんでん返しはオーソドックスながらもさすがと唸らされました。それぞれがそれぞれのロジック(思惑)で動きながらも、それがひとつのストーリーを組み上げていく。そしてその導き手となるのが賢狼ホロという構図もまた見事。

 や、要するにひと言で言うと、「すべてのピースが見事なまでにうまくかみ合わさっている」、そういう作品なんですよね。最後の最後まで展開は『お約束』そのもので、ある意味では 80〜90 年代テイスト(笑)みたいな古さを感じさせる部分もあるのですが、骨格がしっかりした作品は読んでいてものすごく読み応えがある。いわゆるライトノベルが「薄っぺらい小説」ではないこと、「読みやすいながらも読み応えのある小説」もちゃんと存在するということを証明しているような素晴らしい作品、という印象を受けます。これは夏のこたつさんが推すのもよく分かる、という印象。

 でもって、ちょろっと書評を調べてみたわけですが。

・第12回 電撃大賞 入賞作品 銀賞「狼と香辛料」
 http://www.mediaworks.co.jp/3taisyo/12/12novel3.html

 ちょっ;、というかなんですかこの選評は;;。田園ファンタジーっておいおいそれはありえない書評だろうと小一時間;。電撃文庫編集長の鈴木氏の書評は割と分かってらっしゃるという印象ですが、これだけ分かりやすい文章を捕まえて我流のわかりづらい文章表現って意味不明なんですけど、状態;。

 上の書評ではイマイチみたいなこと書かれてますが、全力でお奨めできる一冊です。現在 3 巻まで発売で、もうじき 4 巻が出る様子ですが、こたつさんによれば 2 巻以降はさらにこなれてくるらしく、惜しみ惜しみ読むべきらしい^^。もったいない作品なので、ちょっとゆっくり読みたいところです。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2007/2/7 00:28 | 3.アニメ&コミックス

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コメント

ああ、やっと消化し始めましたか。やれやれ(笑)
それにしてもこの作者は神がかってます。
さらりと書いている部分も見事に破綻なく、文章に魅力あり。
根本的に知能指数が高いのであらゆる部分に余力ありの感。
経済をテーマにしたのも良い着眼点ですね。普遍性をもたらしている。

電撃の書評は思わずのけぞりました。
あれが我流なら古今東西の文豪皆我流(^^;;)

投稿者 夏のこたつ : 2007年2月7日 22:53

> あれが我流なら古今東西の文豪皆我流(^^;;)

というか、自分の枠の中からの評価になっちゃってる、ということでしょうね。
かなりインテリ系入ってる作品なので、キツい人にはキツい作品じゃないかと思いますし。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2007年2月14日 23:05

 初めまして、shunと申します。書評や雑感をいつも楽しく読んでいます。狼と香辛料のインプレッションに今更気づき、誘われるようにしてインプレッションを読みました。ライトノベルは読まれない方だと思っていたので、嬉しくてふらふらと書き込みを。

 四季賞かなにかの寸評で、軽いと薄いは異質なものだ、と評した選考委員がいました。評された作品は何だったか忘れてしまいましたが、ライトノベルにも同様な事が言えますね。ライトは軽いなのだから、薄っぺらくてはいけない、と。
 表面的な記号に捉われなければ、この作品はライトノベルの軽妙さが著された良作ですね。

 電撃大賞の選評についてですが、僕は高畑京一郎が最も的を射ているかな、と思いました。経営ゲームのやり取りよりも日常描写の説得力が一番の魅力かな、と思えるので。それと文章については、応募作品が発刊されるまでに相当書き直しをさせられるそうなので、我々が目にしているものとはかなり違ったかもしれません。真相は闇の中、ですが。

 結局何が言いたいかというと、他のラノベ作品も書評してくれ、と。それでは。

投稿者 shun : 2007年7月9日 17:26

む、今見ると電撃の評が書き直されてるような?
もう少し変な文章が並んでいたような気がするが。
こういう事はしないほうがいいんだがな。

投稿者 夏のこたつ : 2007年7月9日 23:32

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