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Kanon 鑑賞会 #16〜#18 栞編

 というわけで今日は家に引き篭もっていろいろ片付け処理とかしていたわけですが、夕方になってちょっと横になろうと思ったらそのまま値落ち;。← やはり最近の無理がちょっとたたったらしい;。で、夜からけろっちゃ氏に合流してもらって Kanon 鑑賞会とシャレこんだわけですが、せっかくなのでちょっとケーキでも買ってきてみたり〜。



 や、最近むしょうにタカノ分が足りなかったので;。バレンタインの 2 つケーキセットとかあったんですが、さすがに自粛(ぉ)。二人でホールケーキ 1 個ってどうよ? と思ったら上げ底だったので助かりました;。ま、それはともかく、ケーキ食べながら二人で Kanon の舞編 → 栞編と鑑賞してみたわけですが。

 神だよ、神っ。超GJ!! > 栞編
 や、正直参りました;。もちろん舞編も十二分な出来ではあるのですが、それを圧倒してしまうようなとんでもない出来

 栞編は、香里と栞の姉妹の物語なわけですが、仲の良過ぎる二人ゆえの微妙な関係と距離感をどう描出するのか。今回の場合、脚本もコンテも作画も声優も何もかもが神。原作シナリオを消化した上でさらにそれを昇華させた見事なリメイクシナリオ、さらにアニメーターとはドラマにおける俳優であるということを久しぶりに想起させてくれる見事な作画、そしてそれらを見事に声で演じきった声優さん。映像効果や音響など、目に付きにくいところも含めて何もかもが見事な一作でした。

# ある意味、舞編の方は麻枝氏のシナリオを消化しきれていない感があったのですが、
# こちらは見事に消化した上できれいに行間を埋めてきた感がありますね。

 以下、軽くネタバレしつつもう少し突っ込んでみたり。

「それは栞の強さだ。」

 Kanon のすべてのシナリオに共通するテーマは、逃避をやめて過酷な現実と向き合うこと。栞編の場合には、栞が病を患うことによって、栞と香里の二人が現実逃避をしていくのですが、この二人のそれぞれについての描写がものすごく丁寧に行われていますね。

 栞は生きている辛さから逃避するために、どうしようもなくなってリスカで自殺を試みるわけですが、あゆと祐一のたわいもないやり取りを思い出して死ねなくなってしまう。彼女にとってのその光景は生きる希望であり、恋する心は過酷な現実と向き合う力を与えてくれるもの。目の前の死まで追い詰められて、彼女は生きることを知り、立ち上がって歩き出していく。(← このリスカのシーンは彼女にとっての転換点なのですが、その描写がまさに文字通り秀逸でした)

「奇跡でも起これば治るかもしれませんけど……
 起きないから、奇跡って言うんですよ。」


 彼女のそのセリフはせいいっぱいのやせ我慢かもしれないけれど、それでも彼女はめいいっぱい頑張って残された時間を前向きに生きていこうとする。一方の姉の香里は栞が死ぬことを受け入れられず、栞から逃避し続ける。自分のことを受け入れられない姉に対して栞ができることは、彼女になるべく迷惑をかけないこと。

 けれども百花屋の誕生パーティにやってきてくれた香里に対して、栞はまっすぐな目線を向ける。それは二人が超えていかなければならない壁でもあり、栞が香里から逃げないという意思表示でもあり、栞が(自分が仮に死ぬとしても)現実を受容して前に進んでいくという決意表明でもある。それは、現実を受け入れるという栞の強さそのもの、なんですよね。香里はすぐにそれを受け入れることはできなかったけれども、百花屋を出るときにはその一歩を踏み出していく。

「余計じゃないわよ……だって、栞は……
 栞は……わたしの、妹なんだから……!」


 ……と、言葉で書けばこれだけ冗長な物語を目線といくつかの言葉のやり取りだけで完璧に描出していて凄いとしか言いようがない作り。絡み合う視線の作画は文字通り神なのですが、確認してみたらこの辺って全部アニメ版オリジナルじゃないですか。事実上、栞シナリオについては全面的に書き直されているような感があるのですが、にもかかわらず作品のテーマの部分については完璧なまでに原作に忠実なんですよ。

 改変されているポイントをちょっとざっとまとめてみましょう。

■ 栞の病気に関する設定
 原作では歩くのもやっとなほどの厳しい病状(ラストでは公園で寝そべってしまうという詩的な描写もある)なのを、少なくとも普通に歩きまわれる程度の病気(外見的には分かりにくい難病?)という設定に変更。「次の誕生日を越えられない」という設定についても、「医者からそういわれた」という設定に留めて(医者は最悪のケースを想定して話しているという設定にしているのでしょう)、確定情報ではないような扱い方にしている。

■ 祐一の栞に対する接し方
 原作では基本的に「彼氏」としての立ち回りをしているのですが、文字通り「お兄ちゃん」としての立ち回りに変更されている。(これは真琴に対する接し方がペットに対する接し方に変更されていたのと同様) また祐一のキャラ造詣自体が基本的に変更されているので、原作では「ラスト一週間で栞とデート三昧」(ぉ)だったものが、「消え去り行くものに何が出来るのか?」という考え方に変更されている。真琴編を受けるような形になっているあたりも、単にシナリオ構成を変更した以上の練り込み方になっていて、実に見事。

■ 百花屋の誕生パーティ
 原作では百花屋でデートしていた二人がたまたま香里と名雪に出会った、という設定になっていましたが、前述のように「栞と香里の仲を戻すための場」に大幅変更されている。

■ 公園でのラストシーン
 原作では、そもそも自分の力では立つこともできなくなっていた栞の体を公園に横たえて、にもかかわらずいつの間にか祐一が寝てしまって栞が消え去るというありえない描写があって解釈に頭を悩ませた記憶がありますが;、ここは原作を無視するほど大幅に修正して、メモを残してそっと消え去るという描写に変更。(その結果として似顔絵を残して立ち去る描写が欠けることになるので、それを前日のデートのときのエピソードに前倒ししてますね。) ちなみに不意打ちのキスもアニメ版オリジナル。

 これだけさんざんストーリーが改変されているにもかかわらず、まったくといっていいほど違和感がない。それは何故かといえば、シナリオで最も大切なテーマの部分が修正されていない(どころかストーリーラインによってより一層強化されている)から、なんですよ。

 先に書いたとおり、この話は二人の現実受容の物語
 まず、香里にとっての物語は、消え去り行く栞から逃げずに妹として受け入れること。だから、香里の物語は栞へのセリフで締めくくられる。

「……栞!
 あの……あとで、いっぱい話そうね!」


 そして栞にとっての物語は、現実を受容した彼女が最後まで精一杯生き抜いていくことによって成就する。だから、栞の物語は祐一への問いかけによって締めくくられる。

「私……たぶん、死にたくないです。
 本当は、だれかとこんなふうに仲良くなってはいけなかったのかもしれません。」
「そうかな……」
「だって、その人にお姉ちゃんみたいな思いをさせるだけですから……」
「……俺は栞と会えて、良かったと思ってるぞ。」
「本当ですか……?」
「本当だ。嘘じゃない。」
 ← この 3 つのセリフはアニメ版オリジナル

「私、笑っていられましたか?
 ずっと、ずっと、笑っていることが、できましたか?」
「ああ、大丈夫だ……」
「……良かった……」


 追加されているアニメ版オリジナルのこのセリフは見事。要するに、Kanon のメインテーマが「過酷な現実を受容して生きていく」ことであるのなら、栞と出会ったこと、そして彼女と仲良くなったことは後悔することではなく感謝すべきことなんですよ。当たり前のことですが、このセリフがあることによって、作品のテーマがより一層強調されてる。そして栞の不意打ちのキス、そしてメモを残して去っていくこともまた、彼女が最後の最後まで強く生きた証になっているんですよね。

 いやはや、ひとこと言わせてください。
 京アニ、神だよ神っ。

 正直に言って、AIR とか舞編なんかを見たときシナリオ解釈面では京アニもどうかなぁ? と思っていたのですが、この栞編については参りましたとしか言いようがなくて、まさに文字通り

 うぐぅの音も出ない

です。さらには栞の声優さんである佐藤 朱さんの演技も素晴らしいの一言に尽きる。原作マニアの自分がリメイク作品でここまで褒めずにはいられない、これほどまでに見事なリメイク作に仕上げてきた手腕は、脚本、コンテ、作画などすべてのスタッフの尽力の賜物でしょう。

 いやー……感動しました。こんな化け物みたいなシナリオを組み上げてくるスタッフ陣が、果たして残りの名雪シナリオとあゆあゆシナリオについてどのように組み立て上げてくるのかは正直予想もつかないのですが(なにしろこの二人は排他ですがここまでを想定すると両方ハッピーエンドにしてくる可能性が高い気が)、ちょっと残りのシナリオがホントに楽しみになってきましたよ。

 いや〜、今後がホントに楽しみ。これからも頑張ってほしいです。

# と、思わず熱の入ったエントリを書いてしまった;。(笑)
# や、それほどまでに素晴らしい作品だったんですよ^^。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2007/2/13 00:54 | 3.アニメ&コミックス

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コメント

あかねさんが内容面でベタ誉めなので、イフェクト面の米。
京アニは光や水の扱いが神なのは以前からですが、特にこの回は秀逸。
夕方の日の光、降り続ける粉雪*、噴水池の水面、噴水のライトアップ**、すべてほぼ完璧でシーンの盛り上げに一役買っています。
*手前の雪が大きく速いのに対して、奥の雪が小さくゆっくりと落ちるのは見ての通り。しかし、このシーンでは奥の雪が水面に接地すると解けて消えています。以前の回ではその処理が甘かったのがしっかり直されているのに感動。
**例の噴水の元となっている公園は夜間は閉鎖されています。したがってライトアップ、ましてや時間とともに色が変化する仕様などあるはずがなく、最初は違和感がありました。しかし、すべてはこのシーンのためだったと思うと、素直に感動。
内容面、演出面を含め、この回はAirの第6話に匹敵する神回だったと思いました。

結論:買ってきたタカノのケーキ、「Happy Birthday Shiori!」と書いてもらうべきだった。orz

投稿者 けろっちゃ : 2007年2月13日 11:13

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投稿者 長財布 メンズ : 2013年10月18日 04:45

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投稿者 モンクレール ダウン 2014 レディース : 2013年10月19日 11:42

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