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「世の中は、たとえどんな社会でも、知識と教養があって、決断力と行動力があるような、
頭のいい人たちが支配してるんでしょう?
私のような頭の悪い人は、ずっと利用されて生きるんでしょう?
でも、気付かなければ、幸せだから……そういった頭のいい人たちに、いっつも責任を
取ってもらえれば、すっごい楽ちんだから……それで、いいよ……」
というわけで夏のこたつさんから猛烈なプッシュを受けながらさんざん放置してたゲーム「車輪の国、向日葵の少女」をプレイしてたわけですが、ようやくコンプしたので軽くゲームインプレを。いやはやこれは確かに強烈プッシュするのも分かる、かなり他に類を見ないタイプの作品ですね。
舞台は明らかにされていませんが、イメージ的には第二次世界大戦に日本が勝利してしまい、そのまま軍国主義を貫いて現代に至ったような世界観。その世界では、罪を犯した人間に対して、罪の内容に応じた義務を負わせることで罪を償わせる、という特別高等法が引かれている。例えば、
・人を殺めた場合には、一生子供を作ってはならないという義務が負わされる。
・時間の大切さを理解せず怠惰な生活を送る者に対しては、生活時間を制限するという義務が負わされる。
・まるで言うことを聞かない子供に対しては、親の言うことに絶対服従しなければならないという義務が負わされる。
・異性をたぶらかす者に対しては、異性に対する接触禁止の義務が負わされる。
そしてその義務を破った者は強制収容所送りとなる。そんな『義務』を負った非更生人の監督・保護観察を行うのが特別高等人。彼らは被更生人の基本的人権を握っており、プライバシーどころか生殺与奪まで自由。更生教育のためなら手段を選ばなくてよく、『義務』の解消についても彼らが決定権を保有する。1 年間に 10 人出るか出ないかという、特権的な階級を持った、国家の超エリート資格。主人公の森田賢一はその最終試験のために、とある田舎町を訪れる……という物語。
……とまあ設定を見ていただければ分かる通り、特別高等人とは文字通り、「特別」に「高等」な「人」。人が人を裁くことに対して根拠を与えるという、まさに選民思想をそのまま具現化したようなシステム。プレイを始めて「いやこれはヤバそうな;;」状態だったのですが、ざっと一通りプレイしてみてなかなかに良い作品だったので軽くインプレ書いてみようかな、と。
というわけで、ここからはネタバレありで。
特別高等人、という設定を聞いたときに、いやいやこれはまたとんでもない設定を持ってきたなぁと感心したのですが、結局、物語をひとことでまとめればこうなるのでしょう。
「意志の強さを問う物語」
特別高等人というのは他人の生殺与奪に対する決定権を持つ資格であり、簡単に言えば人の上に人を作る仕組み。……なのですが、人が人を裁いたり導いたりするときに必要な力、それは自分が目指すところを決して違えないようにする意志の強さ。この作品では、特別高等人になるための様々な試験を最年少で突破してきた賢一が唯一クリアできなかった試験があるのですが、それが「意志力養成試験」。端的に言えば、賢一はある極限的なシチュエーションに追い込まれたときの意志が『弱い』んですね。(幼少のエピソード)
その賢一の意志力を養成するために法月が実地試験として最後に課した課題が、3人の少女たちの更生。法月のやり方は、冷淡にして冷徹、そして非情。被更生人には人権などないといわんばかりに、そしてたった一人の「エリート」である賢一を育成するために、周りの者たちを次々と貶め、犠牲にしていく。賢一を徹底的に絶望させ、もしそのまま折れるなら期待外れ、そこから這い上がってくるのなら意志の強さあり。そうした法月のやり方には情のカケラもないが、人を導く者(特別高等人)を造らんとする鉄の意志がある。
……と、この部分だけ見ると危険すぎる選民思想のカタマリみたいな物語としか言いようがないのですが、この物語の面白さは、人の上に立つべき存在である賢一に最も必要とされる「意志の強さ」を、彼に裁かれるべき被更生人である3人の少女が持っている、というところ。なっちゃんは意志力養成試験により心を砕かれながらも、それでもなお自分の意志を取り戻し、法月の前に立ちはだかる。灯花はどんな仕打ちにあっても、なお慈愛に満ちた行動を母親に対して取る。そしてさちもまた、画家を目指して突き進む。
それらは取りも直さず意志の強さそのものであり、この世の中を変革させていくために必要な力。
それを、賢一は被更生人である三人から学んでいくことになるんですね。
「あなたにとって、政治家ってなに?」
「人を変えようとする職業。だから、すごいパワーがいるんだ。
なぜなら、未来と自分は変えられるが、過去と他人は変えられないからだ……基本的にね。」
もちろん意志がどんなに強かったとしても、他人を、そして世の中を簡単に変えていくことはできない。一足飛びに解決を求めた賢一の父は結局テロリストとして処刑されることになるものの、逆に賢一は自らの素性を偽り、父が残した遺産を使って、社会の中枢へと入り込んで世界を変えて行こうとする。そこにあるのは、社会の仕組み、すなわち車輪の下にありながらも、目指す理想の世界を求めて世の中のあり方を変えていこうとする、すなわち太陽に向かって伸びていく向日葵のごとき意志の強さとでも言うべきものでしょう。
ストーリーも分かりやすく、落とし所も奇をてらっていないので、ある意味では「物足りなさ」を感じるところもありますが、総じて言えば非常によく出来た物語。個別ヒロインで言うとさちルートが珠玉の出来。これは本気で素晴らしいとしか言いようがなかったです。(逆に夏咲が割と大人しかったので、全体としてはややもったいない構成、という印象もありました。ストーリー運びとしてやむを得なかったところはあるでしょうが。)
しかしこれ、発売されたの実に 2 年前なんですよね;。智代アフターや ToHeart 2 XRATED などの大物と発売タイミングがかぶったことが不振の一因だったようですが、この手の社会派ゲームは珍しいので興味のある方はプレイしてみてほしいところです。私もなんだかんだで結構一気プレイでした。
# で、ファンディスクもあるんですかこれ?;
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よりランニング時の接地面積を拡くする為?ソール?の形状をフラットに近づけ「トゥ(爪先)」と「ヒール(踵)」の高低差を極力減らし「トゥ(爪先)」の反り上がりを高く設定する事により「ミッドフット」での着地や足運びをスムーズに促しながら「ヒール(踵)」に掛かる負担を分散しています。
投稿者 ニューバランスレディース : 2013年8月19日 12:56