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かみちゃまかりん chu 1 巻

 というわけで今日はお外に出かけて get してきたこちらを一つ。

 

 ……っていうかなにげにコゲどんぼさん直筆サイン入り(笑)。や、普通にサイン入り!とかいって平積みされていたので「おお、珍しいなぁ」と思いつつ買ったわけですが、先ほどご本人の blog を見たら実は営業活動でいろんな書店を回ってたようで、そのときに直筆サイン入りの本を投下していった(or 在庫にサインを入れた)様子。っつーかお前が買ってどうすんだよと後から自分でツッ込みを入れましたが(← 本来はちっちゃな子向けですよねぇ;)、もともと今日お出かけしたメインの用事はこれを get するためだったので許してくださいダンナ状態(苦笑)。そんなわけでせっかくなのでタイムリーにエントリを書いてみたり。

# といっても私はサイン本だからって手心を加えたりしないあたりが容赦ないわけですが^^。

 前作のかみちゃまかりんはこのエントリに書いたんですが、前シリーズはかなりきれいに終わっていたので果たして新シリーズはどうなることかと多少心配もしてたんですが、結論としてはひとこと。

 や、非常によく出来た少女漫画ですよこれ。
 っつーか、もうすっかり正統派少女漫画家さんじゃないですか、コゲどんぼさん^^。

 実はかみちゃまかりん chu の第 1 話は読者投稿で 1 位を取った、とご本人が blog にも書かれてるんですが、この 1 巻を通して読んでみると、なるほど人気が出るのもこれは当然、という印象の作品ですね、これ。端的に言えば、作品に華があるんですよ。いくつか要素をピックアップして書いてみるとこんな感じ。

・キャラ配置
 少女漫画は逆ハーレムのキャラ配置(やたら男が出てきてヒロインにめろめろ〜ん)が基本ですが、こういうのって単にイケメンな男がたくさん出てくればいいわけじゃないんですよね。それぞれに性格の振り分け(すなわちキャラ配置としての色分け)が必要なんですが、その基本がちゃんと出来ている。メインの和音くんはクールだけれども、考え方は昔ながらの男尊女卑タイプ(=男は女を守るべき)で、ちょっと恥ずかしがり屋さん。新キャラの久我 神くんはちょっと軽めのチャイドルで、いかにもなナンパタイプのキャラ(← これはこの後でちょっと変えてくるでしょうけど)。そして最後の錦織みちるは、頼れるおにーさんタイプのしっかりもの。つまり、ちゃんと多様な読み手の好みに合わせられるように、いろんなタイプの魅力を持つキャラを登場させていて、その描き分けも出来ている(キャラの魅力を出せている)んですよ。
 そしてもう一点重要なのは、これらのキャラの取り扱いが基本的に『対等』である、という点。や、どういうことかというと、『本命』以外の男キャラが『当て馬』として設定されることも多いんですが、この作品ではそういう扱われ方をしていない。『本命』はちゃんといるけど、本命とくっつけるための『当て馬』としてキャラを配置しているわけではない。
 この辺のことは当たり前といえば当たり前なんですが、意外にちゃんとできていない作品も多いんですよね。

・イラスト
 ぺらぺらとページをめくって思ってしまったこと。「ぴたテンの時とはトーンの消費量がえらい違うな」(笑)
 や、これは冗談ですが^^、要するにページに余白が全くないんですよね。これって実はかなり普遍的な法則だと思うんですが、売れてる漫画家ほどページがびっちり描かれてることが多いんですよ。例えば種村有菜さんの紳士同盟†とか、前川 涼さんのアニマル横町なんかを見てもそういう傾向がある。この作品の場合は、くどすぎるぐらいのトーンと効果線の嵐なんですが、逆にここまで徹底的な作り込みをするからこそ(真面目にマンガを読む子供たちから見て)読み応えが出てくる。実際、単純に要素一つ一つを取ってもとにかく凝っていて、例えばコマ割り線が普通のペンで描かれてるのがごくわずか、というあたりからもそれは伺える。
 こうした細かい作り込みって、人気作品=お金が潤沢にあってアシさんがたくさんいて……というような物量の違いから来るもの、と思われるかもしれませんが、多分それは違う。これは私の推測ですが、おそらくこれは純粋な創作力の違いから来るものじゃないか、と思うんですよね。例えば、ページが白い(物理的に白いという意味ではなく、単にトーンが貼られているだけといった、『情報として何も含まれていない部分が多い』という意味)漫画家さんに、もっと作り込みを細かく……といっても、おそらくそこにどんな情報を足せばいいのか分からない可能性が高い。ここまで細かい作り込みが出来るというのは、それだけ作家としての引き出しが大きい、ということを意味するのだと思います。……っつーかあのぴたテンの白さを知ってる人からするとこの作り込みの細かさはある意味で脅威です;。

・セリフ
 逆ハーレム作品であれば、当然のように男の子のセリフに女の子がドキドキさせられなくちゃ困るわけですが、女の子をドキドキさせるようなちょっとしたセリフがちゃんと大量に盛り込まれてますね。

「何があっても守る。守るためならなんでもする。
 家族(あいつら)のためなら、オレはどうなってもかまわない。」

「アホかおまえ。
 取られたらうばいかえすに決まってんだろ!」


 こういうセリフがなかなかにイイ。……とはいえ、全体的に言うとちょっとやりすぎな感はあるかもしれず。本来、こういう決め台詞というのは、適切なシチュエーションで魂の籠もった本音の言葉として出てくるからこそ効果がある。けれどもこういうセリフが 1 つのエピソードの中に 4 つも 5 つも出てくるとさすがに作品が浮ついて見えるし、そのキャラに芯がないように見えてしまう;。まあ女の子はこの手のだだ甘セリフが好きなものでしょうから、ニーズには合致してるんでしょうが^^、私的には結構な減点要素ですね。
 関係ないですが、エクサルシス(exalsis)って言葉って一般用語? なんですか? なんとなく意味は分かるけど辞書にも載ってないし。教えてエラい人。

・ぷちエロ
 少女漫画といえど昨今はエロは基本になりつつありますが;、そうはいってもなかよしくらいの読者層になると適度なぷちエロ加減が重要になってくる(← や、親から「読んじゃいけません!」認定されると困るし^^)。……なんですが、ここがものすごく上手い。なにがって、メインの和音くんはクールで男尊女卑だからそんなぷちエロなんてするはずがないキャラ造詣なのに、酔っ払うと適度なえろえろモードに突入するという設定。酒のせいにするってどこぞのセクハラ親父の言い訳かよっ!と思うわけですが、こういう形にすればキャラの魅力を保ちながらぷちエロを入れられるわけで、なるほど上手いなぁ、という印象。

・ストーリー
 キャラ設定上、花鈴ちゃんと和音くんは前世で夫婦という設定で、しかもママ4よろしく未来から二人の娘もやってきてしまう。この辺のラブラブ幸せハッピー路線の設定はお約束といえばお約束なわけですが、やってきた娘のおかげで二人がラブラブになった直後にいきなりの爆弾発言。

「ね……未来の私たちってどんな感じ? き……きかせて?」
「パパ……知らない女の人とでていっちゃった……
 ずーっとずーっと帰ってこないの……」


 思わず爆笑www。う、上手すぎるwwww。や、これ落とし方も上手いんですが、和音くんはこの話を聞いていなくて、花鈴しかこれを聞いていないというのがミソ。こういう少女漫画らしい伏線をギャグを使いながらもきっちりと織り込んでいるあたりはさすがに上手い。

 ……と、あれこれ書いてきましたが、もちろんここに書いたことなんて作品全体の要素の一部でしかない。けれどもこういう『当たり前』のことを当たり前にこなし、さらに作品としても魅力があれば、そりゃ売れないわけがない。実際問題として、ここに書いたような内容って、例えばネギま!なんかと全く同じなんですよ。あの作品も多様なニーズに答えるための多彩なキャラ、細かい描き込み、ぷちエロなどなど、上述したのと似たような要素をたくさん持ってますが、こういうものを作り上げる実力を備えた作家って、やはり業界全体を見回しても少ないわけで、大したものだなぁ、とは思います。

 とはいえ減点要素がないわけではなくて、(ネギま!なんかと同じなんですが)作り込みや描き込みが細かすぎて、たまについていけなくなることがある、という点はやっぱり減点要素。そしてもう一つは、セカンドターゲットを狙うための要素が作品に混ざっている(ように思える)という点ですね。例えば episode 3 の扉絵では花鈴が赤ちゃんのコスプレしておしゃぶり咥えてるんですが、さすがにそこまでやると意味不明。(いや、一応ちっちゃくなっちゃうエピソードなんですけどね、だからっておしゃぶりはさすがにどうか、と;。それはかなり特殊なニーズです;;。)

 前作のかみちゃまかりんを読んだときはまだ昔の少年誌のテイストを残していたのでこういうのもアリかなと思ってたんですが、今作の chu ぐらいに少女漫画してるのなら、むしろ少年誌向けのテイストは完全に捨てて欲しい、と思ってしまう。や、要するに少女漫画家として超一流になれるのなら、セカンドターゲットは狙わなくていい(むしろそういうテイストは積極的に排除した方がよい)、と思うんですよねぇ。まあ私が気にしすぎなのかなー、という気もしますが。

 ま、そんなわけでつらつら書いたらとんでもない量になっちゃいましたが^^、これだけあれこれ書けるのも作品の密度と質の高さゆえ、というもの。次巻以降にも期待、ですね。もともとコゲどんぼさんの作品はリアルタイムで読むよりも一気読みした方がよいと思うので、積極的に第 1 巻だけお薦めしてよいのかどうかは疑問ですが、前作がなかなか良かっただけに今作も期待しちゃいますね。これからも本誌連載を頑張って欲しいものです。

# って、これについてはもう一つ書きたいことがあるけどそれはまた別エントリにしよう;。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2006/9/10 00:50 | 3.アニメ&コミックス

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コメント

そういえば、謎の転校生の左右の眼の色が違い 今までに居ないキャラクターです。

投稿者 古城 : 2007年6月3日 14:51

あれ? コゲさんの作品ってヘテロクロミアはいなかったでしたっけ。
言われてみればいなかったような気も.... 割と最近は多いんですけどね。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2007年6月5日 21:46

今日は〜^^またブログ覗かせていただきました。よろしくお願いします。

投稿者 グッチ アウトレット : 2012年11月10日 06:13

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