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さてさて、今日はこの本の感想をひとつ。
白い死神モモと使い魔の黒猫ダニエルの、哀しくて優しいストーリー。アニメ版はもうとっくに終了してますが、コミックスはぼちぼち続いてますね。……といっても買ったのは随分前のような気も;。
「これから死ぬ人間が他人のこと考えられるワケないじゃん。
あれ……愛とかなんとかいってごまかしてるだけじゃん。
誰かを好きになったら、生きていたいって思うに決まってる。」
人の生き死ににかかわるエピソードは琴線に触れやすいものですが、この巻の最初と最後の対のエピソード「スノウリバース」と「しちがつなのか」がなかなかいいんですよ。主人公の誠剛は、高校のとき、彼女を病気であっけなく失ってしまう。
この言葉は七星がいなくなったあと、俺を苦しめるだろう。
でも……
「いいんだ。」
大事なものは、いつだってここにある。
七星を失った後、絵描きを目指していた誠剛は彼女をモデルにした絵を出展。満足のいく作品を作り上げたものの、優勝作品との才能の違いを見せ付けられて絵描きになることを諦め、学校の教師になる。こうしたプロセスを経て彼は過去の痛みを消化していくのですが、それは人間としての年輪を重ねることに他にならない。
そんな彼が学校で出会った一人の生徒。アズリというその少女は、両親を事故で失ってしまって立ち直れずにいるんですが、彼女から過去の絵のことを問われて、彼はこんなふうに答えるんですよね。
「ちゃんとあいつが生きてたこと、確かめたかった。」
「今は……忘れてないの……?」
「忘れないよ。」
そして誠剛はアズリの一人ぼっちの寂しさや悲しさを発散してあげるんですが、それはかつて彼自身が通ってきたプロセスそのもの。悲しみを忌避するのではなくて、ちゃんと受け止めて消化していく、そういうプロセスが 2 つの連編を通して綺麗に描かれていたのが非常に印象的でした。センスのあるいい作品ですね。
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