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書評:女性がディズニーランドを愛する理由(★×3)

 先日もののついでに買った本。や、えらいベタなタイトルでこんなの買ってどうするよ状態なわけですが、なぜこんな本を手に取ったのかというと、帯に書かれていた「4 つのキーワード」に引かれたから。

 「安全性」「礼儀正しさ」「ショー」「効率」

 これ、courtesy の訳語がちょっと違うものの、昨年採り上げた「ディズニーが教える お客様を感動させる最高の方法」にあった、クォリティ・サービス・サイクルの 4 要素そのもの。ということは、これを書いた人は間違いなく『中の人』なわけで、しかも日本人なので TDL ベースでクォリティ・サービス・サイクルの話が解説されてるんじゃ? と思って買ってみたらビンゴ。講演会の採録のような軽めの本で、1 時間ちょっともあればすらすらと読めるんですが、めちゃめちゃ話が具体的で勉強になりますねぇ、これ。

 日本の TDR って、女性客の比率が他の国の Disneyland Resort に比べて高いらしいんですよね。例えば、California Anaheim の DLR なんかは家族連れが非常に多いんですが、これと比べると、TDR はカップルとか女性客の比率が相対的に高く、お客さんの 7 割以上は女性客だとか。当然、イベントやショーも女性客(しかも大人の女性客)を狙った施策が中心で、実際にそれが見事に成功している。これは日本特有の現象らしいんですね。(そりゃまあ、California の DLR なんかは TDR と違ってふらっと遊びに行けるような場所じゃない、ってのも大きな理由だと思いますが;)

 とはいえ、女性客の心をいかに掴むのか、すなわち女性向けマーケティングというのは、最近のマスマーケティングの中でも(裕福層向けやシニア層向けのマーケティングなどと同様に)一つ重要なトピックになっているらしいんですね。というのも、独身女性であれば可処分所得も多いし、また家族の場合にもお財布を握ってるのがお母さんだったりするわけで;、そこを押さえにかかろうとするのはある意味至極当然と言えば当然。私もいくつの雑誌でこの話は見かけてるんですが、じゃあ具体的にどうすればいいのか? という点についてはなかなかうまくまとめられているものが少ない。が、この本だと(Tips 的とはいえ)ものすごく具体的に解説されてるんですね。

 おそらく要点をひと言に集約するのであれば、女性にとっての『居心地のよさ』をいかに作り上げるのか、ということ。本書では「ちょっとだけ」というキーワードをうまく使って説明していますが、例えば、

・「ちょっとだけ」の優越感
・「ちょっとだけ」の自慢
・「ちょっとだけ」特別な感じ
・「ちょっとだけ」非日常
・「ちょっとだけ」贅沢

など、ほどよい居心地のよさとおもてなしをサービスすることがポイント、だというんですね。本書にははっきりとは書いてませんが、おそらくこの「ちょっとだけ」というのは、別の言葉で置き換えると『さりげない』『ほどよい』『気配りの効いた』『気遣いのある』といったこと。単におもてなしをするのではなくて、『心地よく』おもてなしをすることが重要。例えば、「California の DLR に行ってきたんだよー」というのは一歩間違えばただの自慢話ですが;、「舞浜の TDR に遊びに行ってきたんだよー」というのはほどよい優越感が味わえる。こういう、イヤミにならない程度の『さりげない』心地の良さが女性向けマーケティングでは重要だ、というんですね。

 けれどもその実現はとんでもなく大変。というのは、多くの人にとって、『さりげない』ことは普通『さりげなく』はできないから。特に男性視点、つまりパワーバランスの会社世界の中に生きているような人の場合には、ある意味全く違うロジックというか思考回路が必要になる。女性の場合には五感すべてを使ってそうした『居心地のよさ』を体感するので、通常の男性論理の世界観からでは到底辿り着けないんですよね。そこを科学して、クォリティ・サービス・サイクルという仕組みを作り上げたからこそディズニーは凄いわけなのですが、そうした考え抜かれた行動を『さりげなさそうに』やるために、途方もない努力が払われている、というのがディズニーの世界のホントに凄いところ、だと思うんですよね。

 あと、非常に興味深かったのは、こうしたサービスの作り込み方は全世界共通なのかと思いきや、完全にそうではないらしい、という話。特に日本人の女性はお姫様願望を持つタイプが基本なので、そこを意識したサービスを作らないとなかなかうまくいかないらしい。ここはアメリカとは違うらしく、アメリカだと自分から積極的に楽しむタイプの女性が多いのに比べて、日本は手を引かれてエスコートされるタイプが多い……というのはなるほど確かにそうかもしれません。(ただ、これが TDR に来るような女性に絞った話なのかどうか、という点についてはこの本では言及されていませんでしたが。)

 気軽に読める本なのに、なかなか奥が深くて面白く、なるほどと頷かされます。この手の本を読んでつくづく思いますが、ホントに女性向けマーケティングは奥が深いです。や、自分は少女漫画好きでも女性心理はよく分からない人なわけですが;、こういう女性心理を巧みに読み取れる感性を持っている人(ちなみに著者はサービス業のスペシャリスト)は凄いなぁと思います。ちょっとは見習いたいものです。

 ついでに余談ですが、この本を読んで氷解した謎。ずーっと気になってたカリブの海賊の横にあるレストラン、なんつーか雰囲気が微妙に暗いというかお墓みたいな感じがして いやいやいや〜んな感じだったんですが、あれが有名なブルー・バイ・ユーだったのか……。つまり割と高級なレストランってことじゃん、と。初めて知りましたよ;。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2006/4/21 02:08 | 5.DLR & WDW

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