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書評:トヨタ生産方式−脱規模の経営を目指して−(★×3)

 というわけで今日は久々の off。溜まってたコミックスとアニメを一気に消化して無借金経営……にはならず。っつーか未読多すぎなんですけど(涙)。一日かけても消化しきれない量溜め込んでいったいどうするのかと小一時間;。ついでに机の中を整理しはじめたらこんな感じ。



 ……なんで棒が出てくるかなぁ(苦笑)。まあ明日使うからいいんですけどね。

 そんなわけで今日は少し真面目(?)な書評を一つ。

 前々から興味はあったものの、なかなか読む機会がなかったトヨタ生産方式の本。ここ数年、コンピュータ関係の書籍でも結構用語を見かけるようになってきたので、とりあえず 一冊買って 読んでみたり。……いやこれは面白い。私は雑誌で聞きかじりぐらいにしかトヨタ生産方式のことを知りませんでしたが、なるほどこういうことなのか、と納得。

 トヨタ生産方式を特徴付けるキーワードの一つである「カンバン」。ご存知ない方もいると思いますので、ざっと説明しますとこんな感じ。

 一般的な考え方だと、作業工程が A → B → C と進むのであれば、最終的な生産計画から A, B, C の必要数量を見積もり、それぞれが個々の計画に基づいて生産作業を行う。ところがこれをやってしまうと、最終的な生産計画が下方修正された場合などに柔軟な補正がかけづらくなり、工程の間に部品の在庫の山が出来てしまう。それが結果として生産原価を上げてしまう。(部品在庫を保有・管理するのはコストがかかるので)

 これを避けるためには、後工程から前工程に対して「この部品がいくつ欲しい」と注文をかけるようにする。そうすると、前工程は「必要数量」しか作らなくなるので、作りすぎが押さえられ、適性在庫が保たれるようになる。この 後工程から前工程に発注をかける際に使う伝票を、トヨタ生産方式では「カンバン」と呼んでいます。……と、ここまではよく雑誌なんかでも説明されてます。

 しかし、理屈はともかく現実的にこれをどうやるのか、となると難題だらけ。なぜなら 前工程の人たちは、「部品 A1 が 1000 個欲しい」と言われたら、すぐに A1 を 1000 個作らなければならない。あるいは「部品 A3 と A8 と A7 をそれぞれ 300 個ずつ欲しい」と言われたら、すぐにそれに対応しなくちゃいけない。それってとんでなく大変なことのはずで、これが出来なければこのカンバン方式は成立しない。これをどうやって解決してるんだろう? と思ってたんですよね。

 で、実際にはどうするのかというと、後工程から注文をかけるときに、意図的にロットを小さくしてやるんだそうです。例えば、最終的に作りたいものがコロナとカリーナだったら、午前中にコロナを、午後にカリーナを、といった具合にまとめて生産することをしません。そのかわりに、コロナとカリーナを同一のライン上で交互に流してやるんだそうです(つまり、生産ロットを小さくする)。

 本来、鋳型や金型は交換するのに時間がかかるので、生産ロットを小さくするとどの工程もかなり手間が増えるんですが、こういう状況を作られると否がおうにも知恵を絞らなければならなくなる。実際、知恵を絞ったり道具を工夫すれば、こうした「手間」はどんどん小さくしていくことが出来るそうで、金型の取り替え作業も昔は数時間を要していたものが今では 3 分まで短縮されたとか。そうした積み重ねによって、結果として生産調整のかけやすい、多種少量生産が可能な柔軟な生産ラインが出来上がっていく、というんですね。

 この話の肝はどこにあるのかというと、カンバン方式に代表されるトヨタ生産方式が、結局のところ「現場の人間に創意工夫を迫る仕掛けを持っている」、というところ。見た目としては確かにカンバンが行き来しているのかもしれませんが、現実的にそれを実現するためには現場の人間の創意工夫が絶対必要不可欠で、それを自ずと求める仕掛けになってるんですよね。つまり、具体的な手法ではなく、改善と創意工夫を求める仕掛けになっていることにこそトヨタ生産方式の肝がある。ああ、なるほど、という感じ。

 書籍の後半は今一つ密度が薄かったですが、前半部分は一番の肝の部分が書かれているので非常に参考になりました。これ、1978 年に書かれた本なんですが、今でもその本質部分は全く変わらないんじゃないか、という気がします。なかなかいい本でした。

# そういえば書いてて思い出しましたが、セル生産方式の話は出てきてないですねぇ.....。
# これはまだまだ後の話なんですかね?

投稿者 まちばりあかね☆ : 2005/4/24 01:18 | 4.雑学&雑感

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コメント

>現場の人間の創意工夫 が絶対必要不可欠

なるほど。
とは思うのですが。
これにしても、
これを行えるだけの能力を持った社員。
それを行いたいと社員が思える社風(もしくはシステム)
そのアイディアを実行できる上司の理解と実行力。
・・・と、他にもいろいろ障害はあるのでしょうね。

それをクリアしているってことは、
やはり世界の企業は凄いということになるんでしょうか・・・

投稿者 ABI : 2005年4月26日 01:12

 最も端的に労働者の疎外を実現して、実際に労働者に相当の負担を強いるシステムは、一昔まえまではリオタールっぽく言えば「戦後日本の大きな物語」によって承認され、その崩壊以降では選択の余地を持たない、いわゆる「負け組み」に支えられてきたからこそ、その徹底した仕方で「TOYOTA」を強い企業へと成長させてきたのでしょうから、社会の現状を鑑みれば、確かにまだしばらくは有効に機能しそうです。ところが一方ではそのシステムが、さらなる二極化を齎す、あるいは齎してきたという構造は、長期的には何の懸念も抱かせないものとは思えません。
 トヨタが社会的に負うところは大きく、一企業の話には留まりません。果たしてトヨタは今後の状況に対応しうるのか、自ら状況を生み出しうるのか。危機感を皆が共有するのであればともかく、自ら疎外してきた末端の労働者、特に、既に無自覚に(資本主義社会に)不満感や疎外感を感じつつある若い世代にトヨタのシステムがこれまで通り通用するのか。

 ただでさえ環境問題や化石燃料の枯渇といった死活問題を控えるトヨタが、構造改革をなし得たとしたら、将来的にも模範となり得るのでしょうが、やはり難しいでしょうね。
 期待して注目したいところではありますが。

投稿者 Tito : 2005年4月26日 21:12

ABIさん、Titoさん、レスどもです。

んー、なんかもしかしたら誤解を与えたかもしれませんが、別に私はこのエントリでトヨタマンセーとか書きたかったわけではないんですよ。
Titoさんがこの件になぜそこまで過敏に反応するのかはわかりませんが(少なくとも私にはそう見えるのですが)、実際問題として物事にはメリットデメリット、功罪付きまとうのは当たり前のことと思います。そもそも内側の視点から書かれた本ですし、その辺は差し引く必要はあるでしょう。

> 特に、既に無自覚に(資本主義社会に)不満感や疎外感を感じつつある若い世代にトヨタのシステムがこれまで通り通用するのか。

本質的には、トヨタのシステムがという話以前に、現代社会そのものが立ち回るのかという問題のような気もしますけど、どうでしょう? 水と安全と空気はタダと思う程度では飽き足らず、欲しい物はねだれば手に入ると思っている甘えそのものが本質的な問題のようにも思えるんですが。(←私も人のことは言えませんが;)

投稿者 まちばりあかね☆ : 2005年4月26日 23:55

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投稿者 俺だ : 2012年3月3日 13:11

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投稿者 美樹 : 2012年8月27日 02:59

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