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先日のバースディなエントリに入っていた Web 拍手より〜。
> 毎日楽しくblogを読ませて頂いています。このエントリとは直接関係がありませんが、
> よしながふみさんの「愛すべき娘たち」という漫画を読むとまちばりさんの悩みの
> 幾分かは答えが出るかもしれません。
って、ちょwww。と言われても実際に読んだこともないしどういうことだかさっぱり不明なので、とりあえず買ってきて読んでみた〜。
ええっと、内容はというと、母と娘の確執(という表現もちょっと違うけど)を基軸にしながら、オムニバスストーリーを数本挟むという構成の一冊。ものすごくおおざっぱにまとめてしまうと、要するに、人間ってどっか欠けたところがあって、それまでひっくるめて愛しいと思えますか? というお話。作品タイトルの「愛すべき娘たち」、という名前が秀逸で、
母というものは、要するに一人の不完全な女の事なんだ。
すでに年老いてしまった祖母が、自分の娘(母親)に子供の頃のトラウマ体験を重ねる姿を見て、母親というのは完全な人間ではなくて欠けた人間であることに気付く。そして娘が母親を赦して終わる、というストーリーライン。大きく物語を捉えれば、この作品における「娘たち」というのは作中に出てくる女性すべてのことを指してる言葉で、その欠けた部分も含めて愛しいと思えますか? と問いかけているのがこの作品、だと思うんですよね。
# ……いやまあ、理解はするけど共感できるかどうかは別の話で。(爆)
しかし、うーん、Web 拍手入れてくださった方がこの作品のどの辺を持って前述のコメントを入れてくださったのかイマイチピンと来ないのですが、個人的に気に入ったのは第4話ですかね〜。いやこの話、ものすごく黒すぎる、としか言いようがなくて;。以下、軽く文字反転して少し細かい話を。
さんざん大口を叩いた挙句、友人を「佐伯はまだ子供だね」と切って捨てた牧村は、最後には実業家の青年を掴まえてゴールイン。その一方で、夢を目指して実直に頑張る佐伯は、現状の『型』から抜け出すことができずにずるずると歳を取っていき、気付いてみれば三十路も超えて先の見えない生活に突入。そんな佐伯の元に如月から手紙が届くわけですが、こんな手紙にしか希望を見出せない佐伯の姿が切ないとしか言いようがない。牧村が佐伯を切って捨てたのは、結局のところ佐伯が現実を受け入れて柔軟に変わっていくことができないからなのですが(この作品における大人の定義は、挫折し受け入れることにある)、一番「普通」「無難」に生きているが故にどこにも行けなかった佐伯の姿は、いわば自滅型の絶望みたいなところがあって、真面目に生きることが幸せにはつながらないという今の世相を思いっきり見事に反映しちゃっている。
その一方でそれ以上に強烈だったのが、第3話の莢子(修道女になっちゃった子)の話で、これまた相当に黒い。ブックカバーを見ると、様々な愛のカタチの一つとして「全方向の愛」という言葉が挙げられているのですが、この莢子は人を愛することができない人として描かれている。お見合いを繰り返す中で、相手の人たちは自らを隠すことなく自分の立ち位置を積極的に打ち明けるのに、莢子は自分の立ち位置をはっきりさせることができない。ところが最後に莢子が唯一心を惹かれた男は、欠けたところを見せない男として描かれているんですよね。減点法で男性を見てしまう莢子と付き合い続ければ、いずれ関係は破綻するのがオチ。欠けている姿を愛することがこの作品の愛の定義。けれども欠けている姿を愛せない莢子は、結局誰かを愛することはできない。にもかかわらず、
「でもあたし、気付いてしまったの。
恋をするって人を分け隔てるという事じゃない。」
ちょwww、おまwww、それ違うだろうと小一時間。莢子が修道院に行ったのは、建前上は誰か一人を分け隔てることができないから、という理由ですが、実体としては、莢子は欠けているところを愛する(愛おしく思う)ことができないんですよ。他者を愛せないということは、リアルな世界で生きることができないということであり、だから莢子は修道院という隔離された世界で生きざるを得ない。な、なんてブラックすぎる;;。
とまあ、書き始めるといろいろと書きたいことが出てきてしまう作品ではありますが、しかしなるほど確かに Web 上の批評をざっと眺めてみると、やはり女性(特に 30 代の女性)に圧倒的支持を得ている作品である様子。いやまあ言いたいことは分かるけど正直どうだろう……というところもあったり。ある意味非常にわかりやすい部分もあり、その一方で女性ならではの感性もあり、なるほどねぇと考えさせられる作品ではありました。はい。
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お世話になります。とても良い記事ですね。
投稿者 グッチ 財布 新作 : 2012年11月10日 07:13