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というわけで今日は突発で、夏のこたつさん & りゅうくんさんとともにこちらを攻略〜。
ええっと、横浜中華街の知る人ぞ知る 迷店 名店、天龍菜館。なんと今年で齢 82 歳になるというお爺ちゃんが一人で切り盛りしているというお店で、先週こたつさんが実際に襲撃してきたという話を聞き、だったら早速行こうよという話で三人で行ってきたという次第。いやいや、事前には聞いていたもののなにもかもがあり得ない凄まじいお店でした(笑)。
そもそもお店……といいながら実態はガレージを仕切ってテーブルを置いただけという町内会の寄り合い所みたいな超シンプルな……いやどう見てもここはガレージだろ状態(笑)。そしてテーブルの上に置かれていたコップと取り皿はこちらなわけですが。
ええっとですね、ボクの記憶が正しければこれはソーサーだと思うんですけど状態(笑)。小さなガレージに置かれたテーブルは 2 つ、各 6 人掛け。通されたのは当然のように相席で、向かいに座っていたのは男性一人と女性二人という組み合わせのお客さん。その方々と向かい合う形で 3 人で座ったわけですが、それだけも結構キツキツ。イメージ的には台湾あたりの屋台料理屋みたいな感じなのですが、厨房は 3F にあるのでご主人の呼び出しはインターホン;。事前に夏のこたつさんに注文をしておいてもらったので、紹興酒だけいただいてりゅうくんさんとちびちびやってたわけですが、酒のつまみも特になしで 30 分近くも放置プレイを食らってしまい、おいおいいったいこれどうするんだよと非常に心配になってしまったり;。さらにはご主人はぶっちゃけ料理を作るので手いっぱい状態なので、そばにある流しで自ら積極的にお皿を洗わないと次の料理が出てきたときに置くスペースがなかったり汚い取り皿をそのまま使うハメに陥るというワナ。まあ話を聞いていたので自らマイスポンジ持参で望んだのは秘密ですが、まあお茶のセルフサービスぐらいならいざしらず、お皿まで自分で洗うというお店は中華街広しといえどここぐらいなもんでしょう。(笑)
# 一応ご主人も「洗わなくていいよ、そのままにしておいてくれて」と言ってくれるのですが、
# いやいやそうはいっても次の料理、置く場所ないじゃん状態だったり(笑)。
けれども出される料理はなかなかに美味しい。まず一品目は黒酢を使った酢豚だったんですが、事前に聞いてた通りこれがいきなりめちゃうま。野菜などが入っていない、豚だけのシンプルな酢豚なんですが、黒酢を使った餡が文字通り絶品で、たっぷりと餡をからめて頂くと病みつきになりそうな旨さ。続く 2 品目の春巻きも、非常にオーソドックスな料理なのに、巻かれた具も春巻きの揚げ方もものすごくいい感じ。
そして 3 品目はりゅうくんさんリクエストの麻婆豆腐。ひき肉ではなく叩いた肉が入っているのですが、これが非常に身体の温まる一品。結構からいはずなのですが、口に入れた時はむしろマイルドで、お腹の中からぽかぽかと暖かくなっていくような感じ。続く 4 品目が今回のメインディッシュのアワビ。「今日はアワビがたくさんあるから一人 2 つずつね」という意味不明なセリフのもと、なぜか一人 2 個の豪華なアワビが出てきたり^^。で、これがまた激しく旨い(笑)。アワビというとゴムのような歯ごたえというイメージがありますが(笑)、とにかく柔らかくて美味しいアワビで、こんなの食べたことないよ状態^^。あまりに旨かったので、仲良くなったテーブル向かいの人たちに思わずおすそわけ(笑)。ちなみに合わせてある春雨もこれまた妙に旨い。
……と、この辺からはテーブル向かいのお客さんたち(20 代後半ぐらい?)と仲良くなっておしゃべりしながら食事を進めたり。なんでも中学校の同期の友人同士で、久しぶりに会って食事をしていたとか。この中の男性が実はかなりのグルメらしく、その人の紹介でここに来たんだとか。思わず話が盛り上がっていろいろグルメ情報を交換したりしてたらさらに次の料理がやってきたり。
「ごめんねー、インターホン出てたら少しナッツ焦がしちゃった」……って、おい(笑)と思わず笑ってしまいましたが(笑)、こちらは地鶏の鶏肉とナッツの炒め物。定番メニューとはいえ地鶏がとにかく驚くほど柔らかくておいしい。そして右の一品がアガリクス鳥鍋……ってナンデスカソレ?(笑) 調べてみたらキノコヒメマツタケの俗称だそうで、要するにキノコと鶏肉の鍋スープ、といったところ。コラーゲンたっぷりだよー、という話が振られたせいか向かいの女性の一人がえらいたくさん飲んでました(笑)。個人的には結構好きな味でしたが、微妙に雑味があるのでこたつさんやりゅうくんさんは苦手だった様子。これもほっとする味のスープなんですけどねー^^。
そして最後の 2 品がこちら。左は陳皮蒸牛肉餅というもので、オレンジの皮を使って牛肉を蒸した面白い料理。中華料理っぽくない面白い料理で、夏のこたつさんにはクリーンヒットだった様子。これは自分的にはちょっとイマイチだったんですが、実に素晴らしかったのが右のチャーハン。具材は卵、ネギ、ベーコン、エビという非常にシンプルなものであるにもかかわらず、半熟卵にパラパラごはん、けれどもパサつき感は全然なしという逸品で、いやはやこれはなかなかに good。最後はさすがに食べきれずに多少残してしまいましたが、ばりばりに満腹に。ご主人からは「もうお腹いっぱい?」とか聞かれたわけですが、ぶっちゃけもう食べられませんよ状態(笑)。向かいのお客さんともいくつか料理を交換して突っつきあったりして、とにかく飲んで食べて笑っての楽しい 3 時間に大満足、という印象。いやはや、疲れました^^。
……とまああれこれ書きましたが、軽くお店の総評を。
ええっと、このお店、あらゆる意味において激しくお客さんを選ぶお店、ですね(笑)。なにしろトイレすらも店内にはなくて、その辺のパーキングの公衆トイレを使う有様だし、ご主人が次の料理を持ってくる間にお皿などを洗って待ち構えていなければならない(笑)なんていうのもまさに文字通りの未体験ゾーン。おそらく「普通の」「上品なお店が好きな」お客さんはまず間違いなくキレるでしょう。けれども、このお店には強烈な吸引力とカリスマ性がある。その原因は 2 つあって、ひとつは 82 歳になるご主人の人柄の良さと暖かさ、そしてもう一つはお客さんたちが作り出すアットホームな雰囲気ではないか、と思ったり。
ご存知の方も多いでしょうが、中国でおもてなしの料理を振舞うときには、必ず食べきれないほどの料理を注文して余らせるようにする(まあ正確にはちょっと違うらしいのですが)。このお店で、とにかくこれでもかと振舞われる料理の数々は文字通りのおもてなし料理で、好き嫌いを丁寧に聞いてくれたり、食べられないものなんかを聞いてくれる主人の心遣いもまた有難い。けれどもそうした心遣いを、決して「いかにも」なサービスとしてやるのではなく、あくまでフレンドリーな関係の中でしてくれる、というのが非常にあったかい。例えば、向かいのお客さんの男性は何度かこのお店に来たことがあったそうなんですが、たまたまこのお店に忘れ物をしてしまって後日それを取りに行ったら、ご主人がわざわざチャーハンを作ってくれたんだとか。たぶんこのお爺ちゃんからしてみれば、みんな自分の息子……みたいな感覚がどっかにあるんじゃないか、そういう暖かさを感じさせてくれるんですよね。
そしてもう一つ嬉しかったのが、やはりお客さん同士のコミュニケーション。確かに小ぎれいでシャレてるお店も私は好きですが、やっぱり自分の中でどっか無理しているようなところがあるのか、完全に肩の力を抜いてリラックスすることができないんですよね。でもこのお店の場合、やってくるお客さんもそうした小ぎれいなお店や懇切丁寧なサービスを期待して来ているわけじゃないので、みんな肩の力が抜けているんですよ。だからお互い、ちょっとした話すきっかけが掴めると、非常に仲良くなれるし、ものすごく会話が弾むようになる。今回、私は台所を借りてみんなのお皿を洗ったりしていたんですが、それも特に義務感を感じたからとかそういうわけでもないし、なにより流しでお皿を洗っていてもぜんぜんイヤな感じがしない。それは自宅にみんなを招待してパーティをしながら洗い物をしているときのような感覚に近いのですが、こういう家庭的な感覚を見ず知らずのお客さんたちと共有できる、というのはこういうお店ならではの醍醐味、だと思うんですよね。
# 向かいのお客さんたち 3 人が先に帰ったあと、もう片方のテーブルの人たちから
# 「え゛? そちらのテーブルの方々って 6 人同じグループじゃなかったんですか??」
# とツッ込まれて思わず笑ってしまったり^^。や、周りからみるとそれぐらい仲良く
# 楽しんでいたんだと思うんですが、なかなかこういうのってないですよね。
みんなで飲んで食べて笑って過ごした 3 時間ちょっと、それはとにかく「楽しかった」時間。この食事をしていて『楽しい』と思える瞬間がある、というのはものすごく貴重なことだと思うんですよ。おそらくこのお店の料理に関して言えば、確かに水準以上には美味しいと思いますが、でもすべての料理が桁外れに美味しいかといえばそこまで凄いというほどではないでしょう。ではなぜここまでクチコミで噂になっているのかといえば、それは多分このお店の最大の魅力が料理にあるのではなく、このお店全体が作り出す家庭的な暖かさにあるからではないかと思います。だからこそ、あんまり人に知られたくない……と思う人が多いんでしょうね。
82 歳になるご主人に聞いたところ、あと 2〜3 年ぐらいでお店をやめるつもりなんだとか。弟子を取るかどうかはまだ未定だそうですが、今どき珍しい、非常に暖かいお店でした。お店が締まるまでにまた何回か足を運んでみたいものです。
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好みに合うかどうかとちょっと心配していたのですが気に入ってもらえて何より。
前回は(比較的)大人しめの大学時代の友人と行ったので普通に食事でしたが、
今回は初参加にてスポンジ持参で自然に皿を洗う姿に感銘しました。
なるほど、優秀な人間は柔軟に素早く状況に対応するのだなと少し感心。
天龍Lv.2ぐらいにさっさと上がられて抜かされた気がします(違)
料理に関しては、バランスのとり方が微妙に日本にはない感じで
広東の人の味覚はこれに近いのかな、とか考えました。日本化された中華料理以外を
口にする機会は案外ないのかもしれません。
そんなわけで再襲撃を約して帰りました。
あ、テイクアウトした肉まんは上々でした。
さて、次回注文するメニューは・・・・・と。
投稿者 夏のこたつ : 2007年12月2日 18:52