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United 93

 今日は会社を多少早めに切り上げて、これを見に行ってきたり。



 や、この映画、どっかの CM で見かけて以来かなり気になっていて、そのうち見に行こう、と思っていたらついずるずる;。で、一昨日ふと気になって検索をかけていたらすでに首都圏のごく一部でしか上映されておらず、しかもレイトショーになってて今週末金曜日でおしまい。そんなわけで大慌てで今日なんとか見に行ってきたわけなのです。が。

 見終わった後で思わず呆然自失して声を失ってしまったり。
 いやー……参りますね、これは;。

 どんな映画かというと、United 93 便の離陸から墜落までの約 2 時間をほぼリアルタイムで描くというドキュメンタリードラマ。遺族たちの証言などを元に、可能な限り事実に即して描いた、という作品。ことさらに過剰演出を加えるようなことをせず、分かりやすい煽情的な演出を一切排除し、緻密な描写を通してドキュメンタリー作品の持つ圧倒的な『強さ』を使って、United 93 便とそれを取り巻いた様々な物語を描いている。

 監督による売り文句は「目をそらさずに事実を描いていけば、時代に刻まれた何かが必ず見えてくると信じている」というもの。でも、ドキュメンタリー調に描かれながらも、コアになっているストーリーラインや構成が、異様なぐらい非常に分かりやすく描かれている。これが演出手法によるものなのかどうかがはっきりしなかったので調べてみたところ、どうやら完全に史実に沿っているというわけでもなく、特にラストの部分にはかなりの改変が加えてられている様子。例えば United 93 便は本当は F16 に撃墜されたとか、最後まで乗客がコクピットに乗り込むことはできなかったとか、ある意味ではストーリーラインの肝と言えるような部分にまで改変が加えられているらしい。そもそも United 93 便の中で起こったことに関しても明確な証言があるわけではなく、何が真実なのか、本当の意味では分からない。そういう意味で、この映画はどこまでいっても『真実』になることはできない。

 内容が内容なだけに真偽が問われるのは当然ですが、とはいえ見ていると限りないリアリティを感じる部分も多々ある。錯綜する情報、捻じ曲がっていく伝言ゲーム、混乱する指揮系統、判断できない現場、そして後手に回る対応。それと対照的に描かれる、United 93 便の乗客たち。一部の者たちは呆然自失に陥り、一部の者たちは機内電話で家族などに感謝と愛情を伝え、そして一部の者たちは死の淵に追い詰められてついに覚悟を決め、ハイジャック犯たちに挑んでいく。

 果たして自分が連邦航空局指令センターやアメリカ空軍にいたらどうしたのか? あるいは United 93 に乗り合わせていたらいったいどうしていたのか? フィルムがそういう問いかけをしてくること自体がプロパガンダ作品と言われても仕方のないところかもしれませんが、フィルムを見ていて、足がすくむようなある種の「怖さ」を感じたのも事実であり、本当に自分がその現場に居合わせていたら自分はどんな行動が取れていたのだろうか? ……そういう意味で、終わった後でいろいろと考え込んでしまった作品ではあります。

 フィルムが終了した後、水を打ったかのごとく静まり返った場内、そして無言で去っていく観客の人たち。
 見に来ていた大学生ぐらいの女の子たちの一人が、ぼそっと「怖かった……」と言ったのが非常に印象的でした。

 や、私は実写映画、ましてや洋画を見ることなんてほとんどない(いったい何年ぶりなのやら;)んですが、史実に忠実かどうかはともかくとしても、いろいろ考えさせられるいい作品ではありました。結局こういうものって、想像を働かせて想いを馳せることしかできないものだと思うので。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2006/10/19 01:21 | その他

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