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羊の方舟 epilogue #1 Do not forget until dying

 というわけでようやくフルコンプ。以下ネタバレで。

 んー、結論から言うとちょっとイマイチなシナリオだったような気がします。なんというか、微妙に煮え切らないシナリオ……というか、話の中核部分がしっくりこないんですよね。

 軽くまとめてみると、主人公であるアキラは選択的に記憶を消す能力を持っている。その能力を使って家族に降りかかった不幸な記憶を消し去ることで、自我を保とうとする。けれどもそれを繰り返しているうちに、アキラはどんどん自分の中身がからっぽになっていくことに気付いていく、というのが基本的なストーリーライン。

 当たり前のことですが、記憶の積み重ね、言い換えれば経験の積み重ねがその人を形作る。記憶(より情緒的に言えば思い出)がなければ、その人はからっぽになってしまう。人間であれば、誰だって忘れたい過去の一つや二つはある。思い出すたびに辛くなる過去は、誰にでもあるでしょう。けれどもそうした悲しみも辛さも今の自分を形作る一部。だからこそ、人は悲しみも辛さも背負って生きていかなければならないんですよね。

 アキラの場合、『すべての記憶を消し去れば』おそらく何の苦も無くシャトルに乗ることができる。そして彼は当初、実際にそうしようとしたわけです。なぜなら彼には守りたいと思う「記憶」がないから。しかしアキラは最後にそういう「記憶」の尊さを知り、記憶を消さずに最期の時を迎える。彼は最後に、生きることとは記憶(思い出)を持ち続けることだということに気付くのだった……。

 ……という筋書きなんですが、ここで「?」となってしまうのは、アキラにとっての最後の記憶って、『消したくなるほど辛い記憶』ではないんですよね。サイファと共に過ごし、そして名前を呼んでもらったという記憶は、むしろ彼にとっては留めておきたい記憶のはず。彼はどこまで辛さや悲しみと向き合えたのだろう? と思うと、ちょっと甘い筋書きになっちゃってますね。

 加えて最終 epilogue #4 の cipher も結構微妙ではありますね。もともとアンチ系を主人公に据えている時点で消滅以外に救いはない。だからこそ「世界で一番優しい力」なわけだし、この物語にふさわしい結末なんでしょうが、やや蛇足の感も;。

 総じて言うと、epilogue #3 が頭一つ出ていいシナリオだったと思いますが、他はちょっと技巧寄りすぎて失敗しちゃった感があるノベルだったような感じ。ただ、小粒ながらもちょっと面白いノベル、という意味ではなかなかよいゲームだった気がします。

# しかし今週はさくらむすび片付けたかったのに全然暇なかったり。うぐぅ;。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2005/9/9 00:54 | 1.ゲーム(Windows)

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