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シンフォニック=レイン ファルルートインプレ

 というわけで、昨日に引き続きファルルートの話。以下、ネタバレなので文字反転。

 賛否両論分かれるシナリオでしょうけど、個人的にはかなり良かったです。終盤もそれほど意外性はなくて、総論としては綺麗にまとめてきたなぁ、という印象でした。

 「……私は、幸せになりたいのよ。」

 トルタ→リセとクリアしていて、主人公の造形が徹底的に「誠実」で塗り固められていたので、どこかのシナリオで裏切りのテーマをやるかもしれない、と予想してました。中盤でアーシノが出てきたあたりでちょっときな臭くなってきて、「うわ、やっぱり来たか」という印象。や、それでもホントにやるのかとびっくりはしましたけどね。

 ここまでプレイしてみた感触としては、このゲーム、「意味付け」を求める作品でもなければ、Key の作品のように何かを与えてくれる作品でもないと思うんですよね。一言で言えば、雰囲気や余韻を楽しむゲーム、といえばいいんでしょうか。

 対になって美しく語られていく、心が引き合っていく様と離れていく様、あるいは新しく手に入れていくものと同時に失われていくもの。微妙に、だけど確実に少しずつ変化していく彼らの心の様子。そういうものを感じ取って、自分の心の中で湧き上がってくる感情を楽しむのがこのゲームの正しい楽しみ方だと思うんですよ。前半〜中盤のイベント群は、そういう観点からすると「多すぎず、少なすぎず」のちょうどいい分量で、これより多かったらタルかったし、少なかったら説得力がなかったと私には思えます。

 実はこの「作品によって自分の心の中に自然と湧き上がってくる感情を楽しむ」って、一般的な音楽の楽しみ方そのものなんですよね。つまり、この「シンフォニック=レイン」というゲームそのものが一つの音楽になっている。だから、そこを楽しめないとこのゲームの面白さは半減してしまうのではないかと。

 ラストもなかなかに味があって good。このシナリオには、孤児という恵まれない境遇にいたファルの、世の中の不条理に対する怒りが根底にあって、それが魔力=感情になり、ファルの素晴らしい音楽の原動力へと繋がっているんですよね。簡単に言えば、白ファルには欠けていたけれど、黒ファルにはあった怒りとかやり場のない激情、それが人の心をゆさぶる(=人を感動させる)音を作り出す。ラストで黒化(^^;)したファルが自分の中の良心にすがって「ホントはあたしは」みたいな安直 Ending になっていないのはそういう理由でしょう。そういう『ザラついた心』そのものを愛せるかどうか? それがファルシナリオの最後の選択肢の重さ。

 確かに、自分を追い詰めることしかできないファルの在り方と、そんな自分を愛してくれる人を求めてやまない彼女の悲痛な叫び(これはテーマソングの「雨のmusique」の歌詞なんかを見るとよく分かる)は、プレイヤーから見ると痛々しいとしか言いようがないけれど、そういう痛みが確かに残るからこそ、それがこのシナリオの余韻になるんじゃないかと思います。

 リセルートもそうでしたが、確かに泣きゲ系の余韻とは違うけど、それでも確かに感情は残る。賛否両論分かれそうだし、自分自身もクリスと同じ境遇に立たされたときにどうするかはまた別の話ですけど、物語としてはこういうのも好きですね〜。

 しかしまだ主人公の過去の話が出てきてないので、なぜリセがクリスに似ているのか、という話が分からず。クリスがフォルテールを弾けるということから見ても何かあるはず。この辺は次のシナリオ以降で明かされるのかな?

 と、ネタバレ長文終わり。っつーか長すぎるよ、こんなの誰が読むんだよ……(汗)。

 ま、それはともかく、シナリオの中身がどうこういう前に、テーマ曲の「雨のmusique」が難しかったです(^^;)。最終的には15766点→45298点ぐらいまでは行けましたが、かな〜り運っぽかったり。

投稿者 まちばりあかね☆ : 2005/2/28 23:14 | 1.ゲーム(Windows)

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