このページは、私が2005年にプレイしたゲームに関するネタバレなしのゲームインプレです。ネタバレありのゲームインプレに関してはインデックスあるいはネタバレなしのゲームインプレから飛ぶことができます。なお、直リンクから飛ばれてきた方々はトップページはこちらになります。よろしければどうぞお立ち寄りください。
※最近、インプレ整理のための時間があまり取れずにメモ書きのようになっているものもありますが、ご了承の上お読み頂ければ幸いです。
※リンクが貼られていないものはゲームインプレを記述していないものです。また、このページ内で一部ネタバレを含むものについては白文字反転をしています。
ゲームタイトル | メーカ | ハード | インプレ | お気に入り度 |
東方萃夢想 | 黄昏フロンティア | Windows | ★★★★ | |
ことばのパズル もじぴったん大辞典 | ナムコ | PSP | ネタバレなし | ★★★ |
To Heart 2 | Leaf Aquaplus | PS2 | ★★★ | |
シンフォニック=レイン | 工画堂スタジオ | Windows | ネタバレなし+あり | ★★★★★ |
Tales of Eternia | ナムコ | PSP | ネタバレなし | ★★★ |
首都高バトル (PSP) | GENKI | PSP | ★ | |
Ys III 〜フェルガナの誓い〜 | 日本ファルコム | Windows | ネタバレなし | ★★ |
東方花映塚 〜 Phantasmagoria of Flower View | 上海アリス幻樂団 | Windows | ★★★ | |
羊の方舟 | 工画堂スタジオ | Windows | blog エントリ 1 2 3 4 | ★★ |
Fate hollow/ataraxia | TYPE-MOON | Windows | blog エントリ | ★★★ |
与えられた文字のブロックをつなげて様々な単語を組み立てていくという、最近では珍しい日本語パズルゲーム。PSP の初期タイトルの一つで、見た目が今一つパッとしないこともあって二の足を踏んだのですが、Web で出来る体験版をプレイしてその面白さの虜に。さくっと購入して遊んでいました。
ゲームの内容については「百聞は一見にしかず」というわけで、実際に Web 体験版でちょろっと遊んでみるのがよいと思うのですが、パネルを当てこんでいくことで連鎖的に言葉が組み立てられていくというこのゲーム、ルールは単純ながら非常に奥の深いゲームです。与えられたノルマと与えられたパネルをどう組み合わせて言葉を組み立てていくのか。与えられたパネルを安易に使っていくとすぐにパネル不足に陥ってしまうのですが、「つなぎやすい」文字を「つなげやすい」場所にうまく配置したり、あるいは一つの単語に重ねて別の単語を作り上げたりと、戦略的に攻めていくと割と簡単に攻略できたりする。私は語彙がかなり少ない人なのですが、それでもちょっとした工夫で先の面へと進めたりすると思わず嬉しくなってしまう、そんな不思議なゲームです。
そして、ゲーム自体はかなり硬派なパズルゲームでありながら、それをポップな口当たりの軽快なゲームに仕立て上げているのが、楽しげな BGM やキラキラ感の強い効果音。特に連鎖時の効果音が非常に爽快で、5 連鎖や 6 連鎖が偶然に仕上がったりするとこれがなかなかに気分が良かったり。いやはや、妙な中毒性があるゲームです。
日本語に苦手意識を持っている方も多いと思うので(私もその一人ですが)敬遠しがちなゲームなんじゃないかと思いますし、パズルゲームはちょっと、という方も多いと思いますが、見た目に比べるとかなり気軽に楽しめるゲームなので、是非一度遊んでみてください。Web からダウンロードできる主題歌「ふたりのもじぴったん(fine c’est la mix)」も洗脳度が高くてオススメ。聞いてるだけで楽しくなれるかも?
幼なじみの恋人であるアルを残して、雨が止むことなく降り続ける音楽の街ピオーヴァで音楽学校に通う主人公クリス。彼女の双子の妹であるトルタと共に通うクリスは、目の前に迫った卒業試験の発表会に向けて、声楽科のパートナーと共にオリジナル曲を合奏しなければならなかった。クリスは類稀なる才能を持った、魔導奏器フォルテールの奏者。しかしクリスにとっては、週に一度届くアルからの手紙と、自室の不思議な居候である音の妖精フォーニだけが、世界のすべてだった……
不思議な暖かさと優しさを持った音楽を奏でるシンガーソングライター岡崎律子さんの楽曲と共に構成されたミュージックアドベンチャーゲーム。昨年末に発売された岡崎律子さんの遺作 "for RITZ" はまさにこのシンフォニック=レインの楽曲を岡崎さん自らが歌い上げた一枚なのですが、このアルバムの知名度に比べると全くといっていいほど知られていない名作、それが本作「シンフォニック=レイン」です。
シンフォニック=レインの良さは何か、と問われても、それにうまく答えるのはなかなか難しいです。それでもなお言葉にするのなら、若者たちが持つ心の美しさを、シナリオテキストと音楽の見事なシンフォニーによって奏でてみせたこと、とでも言えばいいのでしょうか。もちろん岡崎さんの曲そのものの良さもあるものの、シナリオとのハーモニーが素晴らしい。あるときは気持ちを伝える橋渡しになったり、またあるときは没頭して逃避する逃げ場になったり、そしてあるときは二人の距離感そのものを表わしたり。二転三転していく作品の空気や雰囲気そのものが一つのメロディのようになっていて、緩やかな音楽を奏でているかのよう。
確かに、本編中のセリフに印象的な名ゼリフが連発するわけでもないし、ト書きにしても他のギャルゲのように緻密で細かい描写があるわけでもありません。にもかかわらず、シナリオテキスト中のなんということのない一文一文にそれぞれの深い想いが篭もっていて、それが(全体的に抑え気味に書かれた)テキストからにじみ出てくる。そしてそうした想いを、岡崎律子さんの音楽が的確に捉え、見事に奏でてくれるのです。
また、キャラデザ・原画担当のしろさんの、淡くて切なげな CG も、本作の世界観に見事なまでにフィットしている。今どき流行りのギャルゲ的なイラストでは、この作品には決してマッチしなかったでしょう。さらにトルタ&アル役の中原麻衣さんをはじめとする、声優さんたちの熱演も素晴らしい。やる気がないとしか思えないような声の当て方が多い凡百のギャルゲとは比較になりません。
切なくて悲しくて、それでいて優しい物語。全編を終えたときに残るこの不思議な感覚は、泣きゲーのような感動でもなければセンスオブワンダーのような感動でもない。けれども、このやり場のない感動は確かなもの。シナリオテキストと音楽とイラストと声とが、こんなにも見事なハーモニーを奏でたゲームを、私は他に知りません。
こんな大傑作がどうして身の回りで評判になっていないのだろうかと不思議に思える一作で、これほどまでに音楽の音楽たる所以を見事に表現したゲームは他にないんじゃないかとすら思います。岡崎律子さんの音楽や、あるいはこのデモムービーなどに心惹かれる方には、是非プレイして欲しい一作です。
これからプレイしようとされる方には、私からのお薦めのポイントがいくつか。この辺を押さえながらプレイすると、よりいっそうこのゲームが楽しめると思います。
ゆっくりと一つ一つのセリフを味わいながら、雨の降り続けるこの街の雰囲気そのものを存分に楽しんでください。それほど長い物語ではありませんが、きっと楽しんでもらえると思います。
以下、ネタバレで。プレイを終えた方だけご覧ください。
このゲーム、双子による叙述トリックを使っているために確かに技巧的に見える側面もあるのですが、これは物語を読ませるための技法であって、テーマではないでしょう。ではこの作品のテーマは何か? テーマが前面に出されている作品ではないので人によって受け止め方が違うかもしれませんが、私は以下のように受け止めました。
「矛盾するいくつもの心を抱えて葛藤する若さゆえの純真さと、その在り方そのものの美しさ」
……と、これだけだと例によって意味不明なので、もうちょっと補足します。多分、デジタルピクチャーコレクションに収録されている #1「雨の始まり」と、#3「妖精の本」から読み解いていくと分かりやすいと思うので、ここから説明していきます。
#1「雨の始まり」では、本編中では語られなかったアル側の物語が語られたわけですが、この物語ではっきりしたことは、フォーニがアルとしての自我を持ちながらクリスと接していた、ということでした。本編中では語られませんでしたが、フォーニは自分(アル)がこの先死ぬ運命であることを受け入れた上で、クリスの行く先や妹のトルタのことを思いやり、自分の気持ちを押し殺しつつクリスと接していたわけです。その心の在り方は、まさにトルタの写し鏡。もっと端的に言えば、結局のところ、アルもトルタもその内面はそっくりだった、ということなんですよね。
誠実で優しくあろうとする心、それでも自分の欲するものを求めてしまう心。その矛盾する心が共存する様は、クリスやアル、トルタに共通する特性です。(このことは、クリスのキャラ造形として、ことさらに誠実さが強調されているところからも読み取れます。)
素直な気持ちと、わがままな気持ち。なりたい自分と、なれない自分。こっちの気持ちもホントだけど、そっちの気持ちもやっぱりホント。そうした矛盾を抱えることの痛みと辛さ。
それは人間であれば誰しもが抱えているものですが、そうした矛盾に瀕したとき、大人であれば、どこかで妥協点を見つけたり、割り切ってしまったり、あるいは開き直ったりすることで、適当な「逃げ」を打つでしょう。そうすることによって、自分と自分の心を保とうとする。
けれども若い頃(幼い頃)には、こうした打算的な行動を取れるほど器用でないことも多かったはずです。それは若さゆえの純真さでもあり、誠実さでもあります。自分に対しても、他人に対しても不器用。その心の機微が、シンフォニック=レインという作品で見事に表現されていたように思うのです。
シンフォニック=レインの情景は、切なくて、優しくて、悲しくて、暖かくて、それでいて美しい。それは、矛盾するいくつもの心を抱えて葛藤する若さゆえの純真さ、あるいはそうした彼らの在り方そのものが美しいからではないでしょうか。
そういう側面から見ると、なぜアルが「妖精の本」に惹かれたのかというのもよく分かります。飛ぶことの出来ない妖精ファータはなぜ笑っていられたのか? 内心どれほど死の恐怖を間近に感じていたとしても、今まで以上の笑顔を絶やさなかったのはなぜか?
それは、端的に言えばファータの「やせ我慢」なんですよね。アルにとっての妖精ファータは、矛盾を抱えながらも精一杯のやせ我慢で生きていく、「生き様の証」そのものだったのではないでしょうか。だから、死に追い詰められたアルは最期にファータの姿を取り、クリスのそばでせいいっぱいの「やせ我慢」をして見せた……それがフォーニだったのではないでしょうか。
でも生きていく上で、「やせ我慢」だけが美徳かというと、必ずしもそういうわけではない。きっと、幸せになるためには自分のわがままを取ることだって、時には必要。トルタルートでトルタがハッピーエンドになるのは、彼女が自分のわがまま、つまりクリスの心が欲しいと思う「自分の心」を認めたところから始まっています。そしてアル(フォーニ)ルートでは、自分に行く末がないことを知りながらも、最後の思い出が欲しいと思う「自分の心」を受け入れたところから始まっている。
それでもなお居直ることなく、誠実でありたいと思う気持ちとの間での心のせめぎ合い、矛盾する気持ちの間での葛藤があるからこそ、彼女たちに心打たれるものがあるのではないでしょうか?
本編中で言えば、ファルのクリスへの告白にしたって、彼を利用するという側面がある半面、その一方で愛に飢える彼女自身の本心も混ざっている。その在り方は不器用としか言いようがないものでしょうが、トルタの不器用さはもっとひどい。矛盾する心を抱え、三人の問題を一人で抱え込み、どんどん追い詰められていく。彼女が自分の心にのみ素直になれたのならどれほどラクなことか。
「トルティニタ。誰のためにそうしているの?」
「……クリスのためよ。」
「そう。なら、それはクリスのためにも、あなたのためにもならない。それだけは確実よ。」
トルタの言動の一つ一つに心揺さ振られるのは、そうした彼女の不器用さゆえの切なさではないか、私にはそう思えるのです。
きっとそういう不器用さは幼い頃には誰しもが持っていたでしょうが、歳を取るにつれて次第に失われていく。矛盾するいくつもの心を抱えて葛藤する若さゆえの純真さ、その在り方そのものの美しさを見事に捉えて描いたのが本作品だったのではないでしょうか。岡崎律子さんの旋律が捉えたのも、若さゆえの美しさと、それゆえの切なさだったように思えるのです。
出来上がった感情を一方的に押し付けてくるのではなく、全体的に控えめに抑えたテキストで行間から切なさがにじみ出てくるように作られている作品ゆえ、おそらく人によって評価がかなりブレる作品だろうと思います。実際、物事の割り切りが早い「大人」な人の場合には、きれいごとばかりが書かれた作品と映るかもしれません。けれども、「自分の心の在り方」を必死に守ろうとし、そして追い詰められて葛藤する彼女たちのの姿は、歳を食ってスレてしまった自分(笑)には、とても心動かされるものがありました。
al fine 編トルタルートのラスト近辺は、まさに神がかった出来と言っていい作品なだけに、もっと相応に評価されて欲しい作品ですね、ホントに。
あと、オールコンプしたら、Official Web サイトに掲載されているショートノベルを是非読んでみてください。prelude となってますが、 コンプしてから読み返してみると、これがまためちゃめちゃ良かったりします。特にトルタのショートノベルは必読です。
※ プレイ中の blog 雑記をこちらに整理しておきました。個別ルートについてはこちらをどうぞ。
Tales of Eternia、もともと Play Station で発売されたゲームですが、最近リニューアル発売された PSP 版でプレイ&クリアしました。古き良き時代の RPG を思わせる一作で、最初から最後までかなり楽しめました。
このゲーム、まず特徴的なのはその舞台設定。主人公リッドやその幼なじみファラたちが暮らすインフェリアという世界。その遥か上空に見えるセレスティアという世界。この 2 つの世界が、オルバース界面と呼ばれる境界面に対して、互いに地表を向かい合わせるような形で存在しています(こんな感じ)。物語は、オルバース界面を隔てたセレスティアから、メルディという少女がやってきたところから始まります。
小さな村から始まり、それが大きな世界を救う物語へと繋がっていき、そして小さな物語へと収束する。そのストーリー展開は実際にプレイしてみて頂きたいのですが、ある意味、古き良き時代の RPG が持っていた、冒険活劇としての基本構造に忠実に従った一作になっていました。
テーマ的に重たくなりすぎることもなく、中だるみもなくサクサクと進行。戦闘パートも簡単なアクションゲームになっているので、経験値稼ぎも苦痛にならず。プログラムの作りもよく、携帯ゲーム機の PSP でもストレスなく進められる。総プレイ時間 28 時間、RPG としては中規模クラスでしたが、かなり楽しめました。PSP をお持ちの方で RPG 好きの方であれば、是非お薦めしたい一作です。
Tales シリーズはこの他にも Symphonia など良作が揃っていると言われているので、これからも引き続いて PSP でリニューアル発売して欲しいところですね。
Ys VI ベースのシステムでリメイクされた Ys III。もともとの Ys III は 1989 年発売ですから、実に 15 年という長い時を経た上でのリメイク作品、ということになります。さてその出来は、というと、作品の古さを全く感じさせない爽快なアクションゲームに仕上がっていました。
プレイしてなにより印象的だったのは、あの Ys III の懐かしい(といってもかすかに記憶に残っていた、という程度ですが(^^;))シーンの数々がフル 3D の美しいマップで再現されている、という点。採石場、遺跡、溶岩地帯、山脈、バレンスタイン城、そしてガルバランの島。もちろんオリジナルのマップとは似ても似つかない部分も多いのですが、オリジナル版で印象的だったシーンをうまく 3D で再現しているあたりが素晴らしい。バレンスタイン城の時計塔の歯車の演出には「ここまでやるか?」とも思いましたが、これぐらいやってくれてこそ現代に蘇る Ys 、と言えるのでしょう。BGM も原曲のイメージを損なうことなく綺麗にアレンジされており、聞いていて懐かしくなるようなものばかり。
もちろん、難点がないわけではありません。比較的こじんまりとした物語、やや変化に欠ける単調なダンジョンマップ。前者についてはもともと Ys III 自体が番外編的な位置付けにあるのでやむを得ないのですが、後者については 3D というシステム特性を生かしきれていないような印象も受けます。前作の Ys VI でも感じたことですが、空中に回廊が浮いているようなマップ構成はどうしても変化を付けづらく、『ゲームのための作られたダンジョン』という印象を与えやすいため、この点については改善の余地があるのではないか、とは思いました。
とはいえ、構成自体はとにかく『豪華』。総プレイ時間こそ 10 時間前後と短いですが、その密度の濃さには舌を巻きます。オフィシャルサイトの製品紹介ページにもありますが、とにかくボスが多い。ボス戦をちょっとしたアクションゲームでつないでいる、という印象を受けるほど数も多く、またその攻撃も多彩でなかなか飽きが来ません。まあ、確かに「なぜこんなところにこんなボスが;」みたいな違和感を受ける不自然なボスもないわけではないですが(^^;)、アクションゲームとしての面白さは抜群でした。
個人的にはもう少しシナリオを掘り下げてオリジナル要素を加えてみても良かったのでは? とは思いましたが、さすがに前作ファンが多いためか、基本的にオリジナル要素はサブクエストの方に譲られてますね。基本的なストーリーラインは原作通り。Ys III をシナリオの題材にしつつ、前作 Ys VI のシステムによって現代に蘇った一作、前作のファンで ARPG 好きであればとりあえずちょろっとプレイしてみても悪くないかも? と思える作品でした。
……それにしてもエレナがやたらとかわいくなってるのは気のせいでしょうか(汗)。
※mailto:akane@pasteltown.sakura.ne.jp (まちばりあかね☆)