富士登山実況編 (Part. 3)

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その5. 目指せ山頂!(8合目ラスト〜9合目)

 本八合トモエ館の脇を抜けるといよいよ山頂が見えてきます。この先、もうしばらく登ると九合目の鳥居、頂上の鳥居が見えて、いよいよ頂上間近!という気がしてきます。が、しかしここからが一番辛かった……写真からしばらくは砂礫が続くのですが、その先に岩場が続いていて、なおかつ空気は薄い、風は強いと三重苦を強いられます。
 ここが九合目の鳥居。八合五勺の御来光館からは目と鼻の先に見えるのにここまで小一時間。とにかく空気が薄い。三歩歩いては三十秒止まる、といった感じの繰り返し。ここまで来ると引くに引けず、とにかくゆっくりでもいいから一歩ずつ前進することだけを考えてゆっくり登りました。実際、ここまで来てしまうと下山道へのエスケープルートもないし、下るのも大変なルートなので登るしかない。体力的に辛いというより、空気がなくてとにかく息が上がるという感じ。スキーウェアを着ていて正解でした。じっとしていてもとりあえず寒くないので。
 先に見えるのが頂上の鳥居。実際、目と鼻の先に見えるでしょうが、あの鳥居をくぐるまでに20分はかかりました。この辺では風も強くて、気を抜くと頭はぼーっとしてくるし、リュックが風に煽られて倒れそうになったり。なるべく山添いを歩いて、いつでも岩にしがみつけるようにしていました。

その6. ようやく山頂に到着(頂上)

 ついに吉田口・須走口頂上に到着! ……したのはいいのですが、ところがとんでもない強風。山頂付近に近づくにつれ強くなり、山頂では強風に押し流されそうになります。後で調べてみたら、気温4℃、南西の風で17m/s。富士山としてはやや強めの風といったところなのかもしれませんが、かなり辛い。写真はブレているのですがこれも強風のため。スキー用の毛糸の帽子とゴーグルが活躍しました。
 山頂についたのは7時半。ということは、白雲荘からは3時間40分、昨日の登山分と併せると山頂まで8時間40分かかったことになります。標準的には6時間といいますから、1.5倍かかったことになります。ツアーだったら落伍していたところですが、ゆっくり一人で登ればなんとかなるものですね。(しかしこの記録はそう破れなさそうな気がします(笑)。)
 山頂には数軒の山小屋が並んでいるのですが、西南の風だとこの山小屋がちょうど風避けになる形のようで、山小屋沿いに歩くのは比較的平気、なのですが、火口(この小屋の向こう側にある)に近づこうものならもう大変。火口をひと目見ようと近づこうとしたのですが見事に風に吹き飛ばされて足をくじいてしまいました。風向きがたまたま西南だったから良かったものの、逆向きだったら今ごろ火口に落ちていたかもしれません。ひぇ〜。
 本当は、お鉢巡り(火口一周)もしたかったのですがこの強風ではとても無理。次回のお楽しみということで諦めました。残念。
 山頂からの見晴らしは絶景、と言いたいところですが、正直言ってここだけだと八合目あたりと大差なかったです(^^;)。お鉢巡りして反対側に行けばいろいろ見られたのでしょうが、ちょっと残念。
 そういえば、白雲荘の方々は「無理せず宿で御来光を見るのを勧めるけれど、やっぱり山頂の御来光は違う」とおっしゃっていたのですが、うーん、この寒空かつそれほど広くないところで混雑しながら見るのは結構つらそうな感じがしました。気分の問題?(^^;)

その7. いよいよ下山(頂上〜五合目)

 風に負けてやむなく8時過ぎには下山を始めました。もうしばらく粘って風が止むのを待つ方法も考えたのですが、山小屋の人いわく望み的には薄いとか。天気が崩れる可能性があることも考えると、無理せず諦めた方がよいと考えて下山しました。
 下山は気圧がだんだん高くなっていくし、下り道だから全然ラク、とお考えでしょう。ええ、私もそう考えてました。が、甘かった。よくよく考えればそれでもまだ九合目とか八合目という高い場所ですし、下り道は砂礫の道なので転ばないように結構神経を使わなければなりません(しかも頂上でひざをくじいてしまっていたし)。ものの15分としないうちに休憩を取るハメになりました。うむむ(^^;)。
 ここはスパッツをつけていると安心ですね。登山道ではスパッツは不要だと思っていたのですが、下山道の方で必要になるとは。
 山道ということに限って言えば、下山道には登山道とは違った精神的な苦痛があります。下山道は砂礫の道をジグザグにとにかく下に下っていくだけ。この下山道は物資運搬のためのブルドーザーが通っており、そのせいもあって道は整備されてはいるのですが、ひたすら単調なのです。頂上から六合目まで、本当に単調にジグザグジグザグと降りていきます。はっきり言ってつまらない(笑)。ときおり見える登山道が気分転換になる程度でしょうか。
 単調に降りていくので、逆に上を見上げるとずーっと山頂が見えるのは面白いです。下まで降りてきて、「うーん、しばらく前まであんなところにいたのか」と思ったり。「いやそれ以前に、あんなところまで登ったのか」とか思うとなんともはや。
 ところで賢明な方はここまで朝食の話が出ていないことに気付かれたはず。実は山頂で食べようと思っていたのですが酸素不足でつらくて食べられず、結局食べずに降りてるんですよね。それがこの辺に来て腹痛となって現れて悲惨な事態に。空腹で腹痛ってかなりマヌケ……やはり宿を出るときに軽く食べておくべきでした。
 六合目の合流地点を過ぎてしまえば、あとはもう一息。河口湖ルートは最初に下りがあるのですが、帰りはこれが登りになっているわけで、これが結構辛かったりします。いよいよ五合目が見えたときにはようやく帰ってこられたのかと一気に疲れが出ますね。(^^;)
 五合目に着いたのは午後1時ちょうど。つまり下山には5時間もかかったことになります。お鉢巡りができなかったので意識的にゆっくり降りてきたこともありますが、これぐらいゆっくり降りてくるとかなりラクですね。

 このあと、富士急行の直通バスの予約をその場で取って、ラーメンを軽く食べて寝ながら帰りました。温泉にでも浸かって帰りたいところですが、須走の方に降りると温泉があるらしいですね。今度はそっちのルートも使ってみようかなぁ。

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Written by まちばりあかね☆ (2000/7/24)