富士登山 Tips 編

 富士山に登るにあたってはとにかく事前準備が大切、とどこを見ても書かれているので、かなり念入りに準備しました。Webサイトや雑誌でいろいろ情報を収集して参考にさせていただきました。これから登る方々の多少でも参考になるかもしれませんので、私も大雑把ながら整理しておきたいと思います。

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その1. 荷物準備

 雑誌を読んだりいくつかのWebサイトを回って必要な物品を調べたのですが、靴などはともかく細かい物品になると結構差異があり、不安もあって和集合を取って用意しました。荷物は結構膨らみましたが、実際に使わなかったのは雨具ぐらいで、それ以外はほとんど使いました。感想も含めてまとめます。

靴(トレッキングシューズ)・靴下 最初はいつも履いている運動靴で済ませようかと思ったのですが、やはりどんなところか分からないということもあってトレッキングシューズを購入しました。\18,000ぐらい。結構値は張りましたが、砂礫や岩場を歩くときには有難さを実感。新宿の石井スポーツで店員さんに聞きながら購入しました。後で知りましたが、新宿新南口のヴィクトリアの方が品揃えは良かったようです。
スパッツ 河口湖方面からの登山の場合、登山道では必要性を感じませんでしたが、下山道はずっと砂礫が続くのでスパッツを付けていた方が安心な気がしました。私はロングタイプのを購入しましたが、装着すると多少圧迫感があるのでショートタイプのでも良かったかもしれません。
軍手 何があっても絶対に必須でした。登山道の7合目から現れる岩場は軍手なしではとても登れません。(^^;) 実際の登山道はデジカメ写真の方をご覧ください。
懐中電灯 ヘッドランプタイプにしようか迷いましたが、ちょっと張り込んでマグライトAAという超小型の懐中電灯を購入しました(ランプが2000円ちょっと、ヘッドベルトが1000円弱程度)。これ、かなり便利でした。照度も結構あるし、軽いし、オプションを使えば頭にも付けられるので。
タオル 念のため3本持っていきましたが、実際には5合目〜7合目付近でしか使いませんでした。(雨が降ったら3本でもつらいかもしれませんが。)
帽子 普通の野球帽と、スキー用の毛糸の帽子の両方を持っていき、前者は〜8合目あたりまで、後者は山頂の方で使いました。風が強かったので、毛糸の帽子は非常に重宝しました。
防寒具 ありあわせで済ませるため、長袖のポロシャツ、薄手のセーター、スキーウェアの3つを持っていきました。スキーウェアはインナーを分離して着られるタイプだったこともあり、寒さ対策としては調整が細かく出来てよかったです。9合目より上では酸素不足でゆっくりとしか動けなかったのですが、強風に煽られつつも全く寒さはなかったです。さすがスキーウェアですね。(^^;)
着替え 念のため一式は持っていきました。空気を抜いて十分圧縮すればそれほどかさばらないですし、たいした重さでもなかったです。雨に降られなかったため結局使わなかったのですが、場合によっては帰りがけに温泉にでも寄って着替えてきたら良かったかもしれません。
雨具 上からすっぽりかぶるタイプのレインコートを持っていたので持っていきました。幸い雨が降らなかったため利用せず。
リュックサック これもありあわせのもので済ませました。雨に濡れることを恐れて、30lのゴミ袋を入れた中に、さらに個々にビニールなどで包んで荷詰をしました。帰りにはゴミで多少荷物が膨れるので、行きの段階でパンパンな状況だとまずいと思います。手にゴミを持って登山している方もいらっしゃいましたが、かなりつらそうでした(そりゃそうですよね…)。それと、リュックが大きいと風に煽られるので要注意だと思いました。結構怖かったです。
ウェストバッグ 手持ちの小さいものを利用したのですが、少し大きめのものにしていろいろ入れておくと良かったように思います。行き来や宿での暇つぶしにと、小さなラジオとかRio500とか入れてたのですが全然使いませんでした(^^;)。
デジカメ オリンパスのCL-820を持っていきました。撮影自体はラクなのですが、いかんせん結構重たい。そのかわりに交換のメモリカードは軽いのですが。ただ、砂塵がすごくて可動部に砂が入ってしまいました。大切なカメラを持っていく際には注意した方が良さそうです。
ビニール袋・ゴミ袋 もともと細かくビニールに包んで荷詰していれば特には必要ないはずですが、何枚かは持っていた方が安心かな、というわけで。ゴミ袋も、そもそもゴミが出ないような荷物にしておくことが大切と感じました。例えばパッケージのビニールは破いておく、お菓子類は持っていかない、とか。
金剛杖 下山のときはあると便利かも、ということで頂上で現地調達しました。\1300。ただ、登山の段階で持っていないと各山小屋の焼印が出来ないので(河口湖方面は下山道に山小屋がない)ちょっと寂しいことになります。
酸素ボンベ 現地調達すると高いことと、140gぐらいで軽いということなので買って持っていきましたが、私の場合はまるで効果がなかったです。気休め・おまじないというのは本当かも。
水分補給のためのサプリと、何にでも使えるミネラルウォーターの2種類のペットボトル(500ml)を持って行きました。実際にはこれだけでは足りず、山の中で2本調達。登りで1lちょっと、下りで500mlぐらい飲んでいます。お菓子類は一切持っていきませんでした。荷物になると邪魔だし、どうしてもお腹が減ったら山小屋で現地調達できますし。
トイレットペーパー 巻きなおすのは大変なので、適当に少なくなったところを潰して持って行っていました。登山道の入り口で水溶性のティッシュが配られていましたが、帰りのときにはいなかったのでいつも貰えるとは限らないみたいです。(^^;)
布ガムテープ 何かが壊れたときの補強用ということで持っていきました。(幸い使いませんでしたが)
マスク 登山・下山時のいずれでも砂塵対策のためにあった方がよいのですが、風が強いとマスク自体が吹き飛ばされそうになったりしてあまり役には立ちませんでした。スキーに使う、防寒用の襟巻きの方が良いかもしれません。
サバイバルシート あると便利かな、と思って一応調達しましたが使いませんでした。小さいので持っていても荷物にはなりません。新宿の東急ハンズで\650ぐらいでした。
地図・コンパス お鉢巡りのときは地図があった方がよい、ということで調達したのですがお鉢巡りが出来ず。ううっ。地図に関しては、一般地図よりガイドブックの方が分かりやすいのでこれで十分かもしれません。
ゴーグル 強風のときは砂塵がすごいことになるので、スキー用のゴーグルを持っていると非常に楽です。行くときには荷物になるかなと思ったのですが、持っていって正解でした。
ホカロン 一応防寒用ということで調達して持っていったのですが、スキーウェアで十分だったのであまり役に立ちませんでした。夜間登山しなければ不要なのかもしれません。
エアーサロンパス、ばんそうこう、ウェットティッシュ エアーサロンパスはたいした重さでないので持っていきました。頂上で突風に煽られてちょっとした擦り傷を作った程度で済みましたが、念のためもう少し持って行った方が良かったかもしれません。
日焼け止めクリーム これは必須。結構しっかり塗っていても頂上の陽射しはやはり強かったです。

 いやはや、こうしてみるとやはりかなりの大荷物で事前準備も結構値が張ったのですが、フタを開けてみればどれも必要なものばかりだったように思います。私の場合は、荷物は「軽くはないけど、重たくもないかな」という程度でしたが、実際に登山してみると荷物の重さよりも息の苦しさの方が辛くて、荷物の重さは下山道の最後の方でようやく感じる程度でした。備えあれば憂いなし、といった感じです。

 ただ実際に山頂まで辿り着いて思ったのは、割り切り次第で荷物を減らすこともできるかな、ということです。特に雨対策と夜間登山のための荷物はかなり多いのですが、そもそも雨なんか降ろうものなら岩場を登るのはかなりつらいし、夜間登山なんて始めての人間は絶対に避けた方が良いと思いました(私は実際にしませんでした)。夜間登山はしない、雨が降ったらさっさと諦めて下山する、という割り切りで荷物を減らす方法が良いかもしれません。

その2. 情報収集

 登山するにあたっては、なにより事前に情報をよく集めることと、登山タイミングを見極めることが大切だと感じました。特に天候が悪いと御来光も見られず山頂まで到達するのもつらい、と二重苦三重苦を強いられるのではないかと思います。Webでかなりの情報が集められますので、ここでは私が利用したいくつかのサイトを御紹介します。

後悔しない富士登山 富士登山情報が満載のページ。特にこのサイトの『安全で楽しい富士登山模範プラン』は必見で、私自身はこれに準拠したプランを立てました。
あっぱれ!富士登山 高山病対策や登山記などが詳しいページです。
富士山実況 富士山の過去2日間の天気の実測データが掲載されています。
山梨県富士吉田市 このページの富士山の天気予報情報は必見でしょう。明らかに天気が悪そうだったら計画を変更した方が良いのではないかと思います。

その3. 登ってみて実感したTips

 かなり多くのTipsが上で挙げたサイトに掲載されていて非常に役立ちましたが、私もいくつか整理しておきたいと思います。一度しか登っていないので、本当に正しいかどうかは分からないのですがとりあえず、ということで。

■ とにかくマイペースで登る

 私の場合、河口湖口からの登りに9時間弱、下りに5時間を要しているのですが、これは通常の約1.5倍の時間です。時間がかかったのは、体力消耗というより空気の薄さで息が上がってしまうという心肺機能の弱さによるものだったのですが、おそらくツアー参加では頂上まで登り切れていなかっただろうと思います。実際、ツアー参加の方々(私よりかなり年配の方々も含む(^^;))にはサクサクと追い抜かれていき、「若いんだから頑張れ!」と何度励まされたことか(笑)。
 下山途中でお会いした初老の女性の方にお話を伺ったところ、この方は前回ツアー参加したもののペースについていけずに落伍、今回はツアーではなく友人の方々とゆっくり登るんだとか。
 「私は体力に自信がない!」と自信を持って言える方(笑)は、周りのペースに合わせる必要のあるツアー参加は避けた方がよいように思いました。また、渋滞に巻き込まれないようにするのもポイントだと思います。ツアー客の方々よりも宿を少し早めに出発するとか。

■ 単独登山はそれなりに怖いので安全な登り方を選ぶ

 ツアー参加せずに単独登山をするということは、なんといっても「誰も自分のことを気にかけてくれない」という恐ろしさがありました。要するに、転落してもその場で見ていない限りは誰も気付いてくれない、ということですよね(^^;)。この点に関しては、

  1. 体の状況を自分で把握して、無理をしないよう意識的に気をつける。夜はゆっくり体を休める。

  2. 登山スケジュールには余裕を持たせ、推定所要時間の1.5倍〜2倍のゆとりを持たせておく。(時間に縛られないように、帰りのバスを敢えて予約しないといった方法もあるでしょう。バスは余裕があるので大丈夫でした) 

  3. 山頂での御来光は諦め、空が明るんできてから登山を再開する。2時ぐらいに山小屋をみんなが出ていっても、自分は寝続ける。

といったことを守れば、初めての登山かつ単独登山であっても大丈夫だと思いました。あと、一泊二日で登るプランはかなりラクなのでお勧めです。

■ 八合目のどこに宿の予約を取るか

 河口湖側から登った場合、八合目付近の宿を取ることになると思いますが、かなりの数の宿があって選ぶのに迷うと思います。私はほぼ中央の白雲荘を利用しましたが、結果的には正解でした。五合目から登っていって、この辺で相当に苦しかったこと(空気の薄さに体が慣れないせいでしょう)、ここで一泊したら体が慣れてその後しばらくは登るのがラクだったことが理由として挙げられます。
 下の方の宿だと二日目の登山が長くなり、下山時につらくなり、上の方の宿だと一日目の登山がつらくなるわけですが、一日目の最後のときの登るペースと、二日目の最初に登り出すペースは、私の場合、倍近く違いました。なので、あまり上の方にこだわらなくてもいいのかも、とは思います。

■ 荷造りの基本は両手をふさがないこと

 山道の写真を見ていただければ分かると思うのですが、とにかく手がふさがっていると登るのがかなりつらいです。ですが、五合目で周りを見回してみると、パンパンのリュックを背負って、さらに手に荷物を抱えているような方々が結構いらっしゃいました。おそらく荷物の上限としては、「夏場の自宅を出発する時点(上着、カメラなどをすべてリュックにしまった状態)で、リュックに若干の空きがある」ぐらいではないでしょうか?

その4. 最後に

 登ってみた感想としては、『つらいけれども、降りてくるといい思い出、ルートを変えてもう一度また登ってみたいと思う山』だったように思います。ただし、事前の準備はとにかく大切だと思います。無理せず、なんとか登りきれたからこそいい思い出になりましたが、失敗していたら二度と登りたくない山だと思っていたかもしれません。

 これから富士山に登ろうと考えられている方々は、無理をなさらず、是非とも楽しい登山になるよう、心からお祈り致します。


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Written by まちばりあかね☆ (2000/7/28)